高齢化が進む今、老年看護領域のスキルはますます強みになりそうですよね。戸田中央メディカルケアグループ(TMG)の「小平中央リハビリテーション病院」では、高齢患者様の暮らしを支えるリハビリに特化し、超高齢社会に求められる看護師を育成しているとのこと。老年看護が未経験の方も大歓迎で、結婚・出産後も長く働ける環境をと整えているそうなので、さっそく見学に行って確かめてきます。
- 形 態
- 慢性期病院
- 所在地
- 東京都小平市/小平駅
- 病床数
- 200床(療養153床、回復期リハ47床)
玄関
「小平中央リハビリテーション病院」へのアクセスは、西武新宿線「花小金井駅」から西武バスに4分ほど乗って、バス停で下車して徒歩8分。「花小金井駅」発着の立川バスや小平市コミュニティタクシーの停留所も近くにありますし、小平駅・国分寺駅・武蔵小金井駅などからもバスでアクセス可能です。玄関で迎えてくれたのは、回復期リハビリテーション病棟勤務の入職2年目の看護師さん。今日はよろしくお願いします。
リハビリテーション室
まずは、リハビリテーション室へ。病院名の通り、リハビリに力を注いでいるんですか?「はい。PT・OT・ST合わせて約70名が在籍し、回復期~維持期のリハビリに取り組んでいます。入院設備は回復期リハビリテーション病棟が1つと療養病棟が3つあり、慢性期の高齢患者様が多いので、在宅復帰を目指すリハビリだけでなく、長期療養中のADL・QOLの維持・向上を目指すリハビリにも力を注いでいることが特徴です」。
廊下
つづいて、松川看護部長にお会いしました。高齢化が進む時代に求められる看護が学べるそうですね。「ええ、入院患者様は高齢者の方が中心で、介護業務を担うケアサポーターと連携しながら、ご本人・ご家族が望む生活を支えていけるように支援しています。中には言葉での意思疎通が困難な方もいらっしゃるため、観察力や洞察力を磨き、小さな変化をしっかりと捉える『考える看護』を実践しているんです」と、看護部長。
療養病棟
各病棟には病棟クラークを2名ほど配置し、看護師の負担軽減につなげているとのこと。「当院では看護師が本来の業務に専念できるよう、他職種へのタスクシフト・タスクシェア(業務移管・業務共同化)を推進していて、今後はケアサポーター(看護補助者)と病棟クラークの増員を予定しています。ケアサポーターの中には介護福祉士資格を持つ方も複数名いて、介護のプロとしてチーム医療の中で専門性を発揮しているんですよ」。
病室
療養病棟の病室を覗くと、看護師さんとケアサポーターさんが体位変換をしていました。「療養病棟にはご自身で体の向きを変えられない患者様が多いので、看護師とケアサポーターがPTから拘縮・褥瘡予防のためのポジショニングや体位変換の指導を受けて、毎日実践しているんです」と、看護師さん。離床が難しい患者様のリハビリはベッドサイドで行うため、リハビリスタッフが病棟に訪れる機会が多いそうです。
療養病棟
療養病棟内には、至るところに季節にちなんだ装飾が施されています。素敵な取り組みですね。「ありがとうございます。長期療養されている患者様にも四季の変化を感じていただけるよう、スタッフたちで季節感のある空間づくりに取り組んでいます。このような生活の場としての環境整備に取り組める点も、慢性期の看護ならではの魅力です」。
スタッフステーション
スタッフステーションに伺うと、多職種カンファレンスが行われていました。「当院では多職種によるチーム医療を推進し、医師・看護師・医療ソーシャルワーカー・リハビリスタッフ・薬剤師・栄養士など、多様な専門職が集まって意見交換・情報共有を行う場を大切にしています。部署の壁がない職場なので、職種に関係なく仲が良く、TMGのソフトボール大会や運動会などの職員行事でも抜群のチームワークを発揮しています」と、皆さん。
回復期リハビリテーション病棟
回復期リハビリテーション病棟に行き、脳卒中リハビリテーション看護認定看護師さんを紹介していただきました。「先輩はスペシャリストでありながらママさんでもあり、子育てをしながら認定看護師資格を取得したんです」と、看護師さん。「糖尿病看護認定看護師も在籍していて、今後も認定看護師を育成する方針です」。特に感染管理や認知症看護のスペシャリストを目指したい方は大歓迎だそうです。
スタッフステーション
お次は、スタッフステーションで新人指導の様子を見学させていただきました。「新卒者にも中途入職者にも、新人1名に対してメンター(身近な相談役)とエルダー(技術指導担当)の2名の先輩が付き、OJT・振り返り・目標管理を行っています」と、看護師さん。各病棟の主任・副主任が中心となり、部署全体で新人さんを育てていく体制づくりも進めているそうです。
廊下
つづいて、妊娠中の看護師さん(写真中央)とママさん看護師さん(写真右)を紹介していただきました。職場の子育て支援は充実していますか?「はい。子どもが小さいうちは夜勤の回数軽減・免除を相談できますし、時短勤務・パート勤務の選択も可能なので、子どもの成長とともに働き方を見直し、無理なく仕事を続けることができるんですよ」と、お2人。男性スタッフの育休取得率も上がっているそうです。
24時間保育室
最後は、敷地内にある24時間対応の保育室を案内していただきました。「こちらは多職種が利用できて、保育対象は生後57日~と、早めの職場復帰を希望する方も安心です。また、365日対応なので、普段通っている保育園がお休みの日曜・祝日だけ利用することもOKです」と、看護師さん。残業は月10時間以下なので、お子さんのお迎えに遅れる心配はないとのこと。今日はありがとうございました。
帰り道
――お疲れさまでした。超高齢社会に求められる看護師を育成している病院、いかがでしたか?
- 近隣の急性期病院からの受け皿としての機能を担う地域密着型病院で、高齢の入院患者様が中心とのこと。回復期リハビリテーション病棟だけでなく、療養病棟でもリハビリを充実させていて、長期療養中の褥瘡・拘縮予防にも力を注いでいました。また、身体介助や生活支援を担うケアサポーターが多く活躍していて、看護師と抜群のチームワークを発揮していましたよ。
――見学をしていて、印象に残ったことはありますか?
- 小さなお子さんがいてパート勤務を選んでいる方は、管理業務に携わらないぶん、新人教育に率先して取り組んでいるとのこと。育児経験を活かしながら新人さんのモチベーションを引き出したり、人生の先輩としてプライベートな相談に乗ったりと、新人さんたちにとても頼りにされているそうです。
――では、ここはちょっと、というところは?
- 病院名の「リハビリテーション」という言葉から、回復期がメインの病院を想像して入職するとギャップを感じるかもしれません。回復期の病棟は1病棟のみで、残りの3つの病棟はすべて療養病棟です。
――最後に、ここだけの話をひとつお願いします。
- 「健康づくりは毎日の食事から」と考える院長のこだわりで、患者様のごはんの銘柄は「コシヒカリ」一筋とのこと(笑)。なお、職員食堂では週に一度「カレーの日」があり、仕出し弁当にカレーが無料でついているそうですよ。
老年看護やリハビリに興味があり、未経験から学んでいきたい方
患者様とじっくり向き合える環境で、結婚・出産後も長く働きたい方