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社会福祉法人 恩賜財団 済生会奈良病院

看護部長インタビューinterview

看護部長の“想い”がわかるコンテンツです。

社会福祉法人 恩賜財団 済生会奈良病院

看護部長インタビューinterview

看護部長の“想い”がわかるコンテンツです。

メイン写真
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患者さんが持っている力を
信じて引き出していく看護を。

Profile

看護部長 がん看護専門看護師 緩和ケア認定看護師/杉下 薫1988年に看護師資格を取得し、「済生会奈良病院」に入職。がん患者さんの多い外科系病棟に勤務し、卒後9年目に看護主任に就任。2007年に緩和ケア認定看護師資格を取得後は院内外で専門活動に従事し、2008年に看護師長に、2014年に副看護部長に就任。その後は専門看護師を目指すために休職して大学院に進学し、2019年にがん看護専門看護師資格を取得して復職。2022年に看護部長に就任以降も、がん看護のスペシャリストとしての活動を継続している。

これまでの歩み

新人時代の思い出を教えてください。

いろいろな失敗をしていましたね。ある時は、患者さんの夕食前の血糖測定とインシュリン注射を忘れて退勤してしまうという大失態をして、先輩から自宅に呼び出しの電話がかかってきて、慌てて戻り、その患者さんに土下座をして謝罪しました。そういう失敗をバネに、次は失敗しないぞ、と頑張っていました。

感動した思い出は、失敗せずに静脈確保ができた瞬間、患者さんから「全然痛くなかった。ありがとう」と言ってもらえて、それ以降は指名をいただくまでになったことです。患者さんに満足していただける技術を身に付けることができて、本当に嬉しかったですね。

印象に残っている患者さんとのエピソードを教えてください。

忘れもしない、がん末期の40代の患者さんの言葉があります。もう治療が難しくなり、腹水で張ったお腹をさすることしかできなくて無力感を感じていた私に、「私ね、がんになってよかったって思っているの。今、幸せなのよ」と、優しく語りかけてくれました。

当時の私は、これほど辛い状況でも、幸福感を感じることができるなんて…と衝撃を受けたと同時に、「人はどんな状況でも、自分の思考を選択する自由がある」という貴重な学びを得ました。その体験を通して、ものごとの見方・捉え方が大きく変わりましたし、自分の傲慢さにも気が付き、緩和ケアの道を歩む決意をしました。

私は2007年に緩和ケア認定看護師資格を、2019年にがん看護専門看護師資格を取得していて、認定看護師も専門看護師も当院で第1号でした。前例がない中でも精一杯支えてくれた当時の上司には心から感謝していて、私自身もそんな上司でありたいと思っています。

スペシャリストとして、どんな活動をしてきましたか?

緩和ケア認定看護師の資格取得後は、緩和ケアチームを発足して組織横断的な活動を展開したほか、がん化学療法室の開設に携わりました。数年後には、看護師に対する緩和ケア教育の指導者研修を修了し、院外研修講師や雑誌の執筆などに携わったことも貴重な経験になりましたね。

また、当院初の認定看護師としてロールモデル的な役割を担ったことで、その後、さまざまな領域の認定看護師を目指す後輩が誕生したことも嬉しく感じています。現在の看護部には、5分野(緩和ケア・がん化学療法・感染管理・皮膚排泄ケア・訪問看護)・7名の認定看護師が在籍していて(2025年4月)、進学中・研修中という仲間もいるんですよ。

がん看護専門看護師の資格を取得してからも、院内外で専門性を発揮する機会を与えていただきました。特に、必要なケアが円滑に行われるよう、医療スタッフ間のコーディネーションを行う機会も増え、外来に「患者支援コーナー」を設置した際は、多職種による相談支援体制の構築に携わりました。2022年に看護部長に就任してからも、地域の大学と連携し、専門看護師(CNS)によるケア提供システムの在り方に関する研究活動を行っています。

テーマ1

現在の挑戦

こちらの病院の看護の特徴について教えてください。

看護部が最も大切にしているのは「ホスピタリティ精神」です。目の前の患者様に喜んでいただくことに価値を置き、お一人おひとりと真摯に向き合っています。

当院は地域密着型の医療を提供する病院ですから、看護部では「その人らしい暮らしを護る」という視点を重視しています。この地域には「済生会があるから大丈夫」と安心していただけるように、住民の皆さんの悩みや困りごとに耳を傾け、適した支援につなげ、温かく見守っていくゲートキーパー(門番)のような役割を目指しているのです。

また、時代に合わせた看護DXの導入に向けたデモンストレーションも行っていて、2026年3月に院内ソフトウェアを見直す予定です。2028年度内には当院の隣に新駅が誕生する予定があり、中心市街地へのアクセスが向上して人の流れが変わると思ので、システムなどのソフト面のリニューアル後は、院内改修などの設備面のリニューアルも検討していきます。

大切にしている看護方針について教えてください。

大切にしているのは、「その人が本来持っている力を信じて引き出すこと」です。

また、看護は双方向型のコミュニケーションであることも忘れないようにしています。良いケアが提供されている時には、必ず看護師もケアされているのです。看護師たちが激務であっても仕事にのめり込んでいくのは、看護を通して「人の役に立てた」という貢献欲が満たされているからではないでしょうか。

看護部の教育体制について教えてください。

入職後は、新人研修計画やプリセプター制度を用意しているほか、入職2年目以降も継続した成長を支えるクリニカルラダーを活用しています。新人さん一人ひとりに合わせた丁寧な指導を行うため、新卒看護師の採用は毎年10名程度に抑え、中途入職者にも副看護部長による定期面談を取り入れ、メンタルケアまでしっかり行っていることが特徴です。

また、2025年度の新人研修には、「看護師が活躍する部署を回るローテーション研修」だけでなく、「他職種が活躍する部門を回るローテーション研修」も組み込みました。円滑なチーム医療を実践するため、1年目から医事課や栄養科などの各部門の役割も体験することで視野を広げてほしいと考えています。

さらに、近い将来には全国に83ある済生会グループの病院で働きながら学べる研修制度も導入予定です。済生会は看護部長同士のつながりが濃く、会全体で研究活動や学会発表などのさまざまな活動を行っていて、今後は交換留学のような感覚で、自施設では得られないスキルをグループ病院で身に付けられる体制を整えていきます。

テーマ2

職員への思い

スタッフのために取り組んでいることを教えてください。

「人生とは幸せであること」をモットーに、ともに働くことになった仲間との出会いに感謝し、周囲の幸せを望み、自らも幸せである___そんな看護部を目指してマネジメントを行っています。

また、変わりゆく時代のニーズに対応していけるよう、医療・福祉・看護の流れを読み、職員の声を聴き、新たな方針が定まれば失敗を恐れずに挑戦していきたいですね。

当院は新しい挑戦に積極的で、増加する高齢者救急の対応策として、2024年10月に「地域医療包括病棟」を開設しました。2024年の診療報酬改定を受けて新設された病棟で、済生会グループでも開設している病院が少ないですが、多職種チームで高齢患者様のADLの維持・向上に取り組み、スムーズな在宅復帰を支えています。

どんな仲間を歓迎していますか。

自分の可能性を広げていけるような方が理想です。自分の立ち位置を理解し、責任をもって行動できる方を歓迎しています。

現在の看護部は中途採用が多く、職員の年齢・キャリアはさまざまです。子育て世代の定着率も良く、時短勤務を利用する方も複数いて、男性看護師の育休取得実績も増えています。それぞれの家庭に合わせて、日勤のみ・夜勤のみの働き方に対応しているほか、パート勤務は週1回からOKとするなど、多様で柔軟な働き方を推進しているので、勤務形態は全部で33パターンもあります。

求職者へのメッセージをお願いします。

看護師として働いていると、「看護とは何か」を思い悩み、考えることがあるはずです。ナイチンゲールの名言の一つに、「看護はサイエンスであり、アートである」という言葉がありますが、私はまさにその表現がぴったりだと感じています。

看護の対象は人であり、看護師一人ひとりに看護観があることはこれから先も変わりません。だから、どんなに医療のIT化やロボティクスが推進されても、看護とは人と人との間で起こるサイエンスであり、看護師自身が創造していくアートです。看護は前面に出過ぎず、環境の一部としてうまくその方に作用する、そんな感覚がベストで、私はその領域に達した看護こそがアートと捉えています。

そこまでに到達するには、やはりケアの道具である自分自身を研ぎ澄ます必要があります。専門的な知識の習得だけでなく、自分のコンフォートゾーン(ストレスや不安がなく落ち着いた精神状態でいられる場所)を超えて、普段と違ういろいろな場所へ行き、いろいろな人と交流し、泣いたり笑ったりしながら味のある人生を歩むことが何よりも大切だと思っています。
ぜひ、私たちと一緒に豊かな感性を磨き、創造性のある看護を提供していきましょう。

テーマ3

プライベートの過ごし方

孫や友人と過ごす休日♪

オフの日は、「急がないけど重要なこと」に時間を費やすことが多いです。孫の世話をしたり、友人とランチをしながら他愛もない話を長時間したり、「自分を磨く」という意味では結構大胆な行動をしたりもします。

プライベート