これまでの歩み
-看護師を志した理由と、新人時代の思い出を教えてください。
看護師を志した理由は、自立した女性になりたかったからです。当時、女性が自立できる職業といえば、看護師か教師しか選択肢がないと私は思っていて、母親が看護師だったので自分も同じ道を選びましたが、進路を決めたのは高校入学の頃。今は看護師になって本当に良かったと思っているけれど、学生時代は一般大学で学ぶことに憧れたし、ほんとは新聞記者になりたかったんだよなぁという思いもありました(笑)。
新人時代は小児病棟に勤務し、忙しいながらも充実した毎日を送っていました。卒後4年目で派遣された研修所(現在のファーストコース)のゼミでは、大半のメンバーが「辞めたい、辞めたいと思いながら何とか働いてきました」と感想を語る中、私だけが「すごく楽しかったです!」と言っていましたね。
でも、すかさず周りから「それは先輩が相当フォローしていたはずだよ!」と、指摘されてしまって…(笑)。自分が楽しく働けたのは先輩方のおかげだったことを気付かされたと同時に、若手がのびのびと働ける環境をつくる管理職って素敵な仕事だな、私も管理職になってみんなが看護を楽しめる環境をつくりたいな!と考えるようになったんです。
-新人時代、印象に残っているエピソードはありますか?
病棟に一番厳しいと評判の先輩がいたのですが、ある夜勤の時、病棟内で発熱者が大勢いて、何にもできなかった私が大量に氷枕を作っていると、その先輩が「すみません、ありがとう」と、優しく声をかけてくれたんです。先輩から認めてもらえたようで、本当に嬉しかったですね。
その先輩は仕事に人一倍厳しかったけれど、すごく信頼できたし、今思うと後輩を育てることにも長けていたと感じます。
-大学院に進学して経営を学んだこともあるそうですね。
そうなんです。日赤本社に出向し、健全な病院運営や経営支援を担う「医療事業推進本部」に在籍した際、経営に興味を持って進学を決めました。その部署ではすべてのグループ病院の経営状況を把握できたのですが、黒字の病院と赤字の病院がある現状を知り、どの病院の看護師も毎日忙しく働いているのに、どうして差が出るんだろう?と、疑問を持ったんです。
大学進学は思い切った決断でしたが、経営に関する修士(MBA)を取得したことは、多くの人脈を得ることができ、私の人生を充実させる大きな財産になりました。現在では、両親の介護問題に直面し、地域連携、介護施設にも強く関心をもつようになりました。
日赤を定年後に当院に再就職した理由も、当院を運営する「社会福祉法人 黎明会」の事業展開に魅力を感じたからです。黎明会では病院だけでなく、老健・特養・障害者施設・訪問看護ステーションなど、多様な施設を運営しているので、これまでのキャリアを活かしつつ、施設運営に関する学びもできそうだと思いました。