

医療法人社団 慶神会
武田病院
( 精神科病院 )


最近の精神科病院は、明るく開放的な環境づくりに取り組む病院が増えているようです。神奈川県川崎市にある「武田病院」も、地域に開かれた精神科医療を目指す病院の1つ。多職種によるチーム医療で、1日も早い在宅復帰・社会復帰に導く取り組みを行っているとのことで、今年度は看護助手の育成に力を入れているのも特徴なのだとか。やりがいと働きやすさの両方を高めながら、職員満足度を追求しているそうなので、さっそく見学に行ってその実態を確かめてきます!
- 形 態
- 精神科病院
- 所在地
- 神奈川県川崎市多摩区/登戸駅
- 病床数
- 140床(精神科急性期治療病棟60床、精神療養病棟80床)

玄関
「武田病院」があるのは、JR・小田急線「登戸駅」徒歩約7分の住宅街。駅前通りを直進するだけなので、あっという間に到着しました。玄関で迎えてくれたのは、看護師の木村さん(写真左)と松井さん(写真右)。すごく便利な立地ですね!「ええ。小田急線快速急行なら、新宿~登戸間は約16分。都心にすぐ出られますし、病院周辺は自然豊かで、県内で人気のお花見スポットがすぐ近くにあるんですよ」。


二ヶ領用水
見学前に、歩いてすぐのお花見スポット「二ヶ領用水」へ案内していただきました。桜が満開で、まさに今が見頃ですね!「ええ、3月下旬~4月上旬がおすすめです。当院では、患者様の退院を応援するため、外出プログラムを充実させているのですが、帰りに少し寄り道して桜散策を楽しんでいます。退院後の自宅や地域での生活をイメージするには、入院中も外に出る機会を設けることが大切なんです」と、お2人。


廊下
病院に戻ると、小堀内看護部長にばったり遭遇。地域に開かれた精神科医療を目指して、独自の取り組みを充実させているそうですね。「ええ、現在は新型コロナの影響で職員のみで対応していますが、患者様と一緒に近隣のゴミ拾いをしたり、調理レクリエーションの食材を地元のスーパーに買い物に行ったり、退院後を見据えた地域での活動や生活訓練を重視しているんです」と、小堀内看護部長。


スタッフステーション
お次はスタッフステーションで、看護主任さんを紹介していただきました。「看護部の管理業務は、今まで部長と師長で対応してきましたが、2020年度からは各部署に私たちのような主任職が配置されました。現場に近い管理職として、スタッフの意見や困りごとを早めにキャッチし、魅力ある職場づくりにつなげていきたいと考えています」と、主任さん。看護主任が中心となって、看護助手への教育も充実させているんだとか。


スタッフステーション
入職後は、どんな教育サポートが受けられますか?「新人さんが業務に慣れるまでは、経験豊富な先輩が教育担当者として付き、こんなふうにマンツーマンのOJTを行っています。看護助手は、無資格・未経験から挑戦する方も多く、きめ細かい教育サポートを心がけていて、ひとり立ち後も質問や相談がしやすい体制を整えているんですよ」と、お2人。


精神療養病棟
精神療養病棟へ伺うと、退院支援カンファレンスが行われていました。「当院では、長期入院も可能な療養病棟でも、退院をゴールに設定して高い在宅復帰率を実現しています。多職種がチームを組み、褥瘡対策やADLの維持・向上に力を注いでいるため、身体介助ニーズも低く、リハビリや病棟イベントを楽しむ患者様が多いんですよ」と、お2人。患者様の自立度が比較的高いので、精神科が未経験の方でも働きやすい環境だそうです。


精神科急性期治療病棟
つづいて、精神科急性期治療病棟へ。「子育てサポートが充実しているので、看護部にはママさんが多く活躍しています。こちらは、子育て中の看護助手です」と、紹介してくれました。仕事と子育ての両立は順調ですか?「はい。毎日ほぼ定時に退勤できるので、保育園のお迎えに遅れたことはありませんし、公休も有休も希望に合わせて取得でき、子どもの行事には必ず参加できています」と、看護助手さん。


精神科急性期治療病棟
見学中に、多職種の皆さんが集まってくれました。どんな方におすすめの職場ですか?「当院は、9:00~17:00の実働7時間で、有休消化率がほぼ100%なので、年齢を重ねても働き続けたい方におすすめです。看護部には経験豊富なベテランスタッフが多く、精神科が未経験の方や育児などでブランクのある方にも手厚いサポートができています」と、皆さん。それは安心です。


症例発表会の様子
「こちらは、先日開催した『症例発表会』の写真です。年に一度、日頃の研究科活動の発表の場を設けているんですよ」と、お2人が写真を見せてくれました。研修や勉強会なども開催していますか?「もちろんです。教育委員会が中心となり、疾患や認知療法などの精神科領域に関する研修を開いたり、職員から学びたいテーマを集めて企画したりしています」。また、大学から心理学の先生を毎月お招きして、助言もいただいているそうです。


作業療法室
お次は、作業療法室へ。「作業療法室は広いスペースを確保し、個別的なアプローチだけでなく、さまざまな集団的療法も開催しています。今日は体操の日で、コロナ禍で外出の機会が減っているため、多くの患者様が身体を動かすために参加しています。当院では、その人らしい自立した生活を送れるように、いろいろなプログラムを企画しているんです」と、作業療法士さん。退院後もリハビリを継続していただけるように、外来OTも行っているんだとか。


精神科デイケア
最後は併設の精神科デイケアへ。「デイケアでは復職を希望する方へのリワーク支援も行っていて、定員70名と大規模です。プログラムは、趣味的に楽しむものから心理教育、就労支援、スポーツ活動など多岐にわたり、退院後の更なる回復もサポートしています」。復職支援を行うリワークは待っている方が多い状況で、デイケア・リワークともに病棟からの試験参加も行っているそうです。在宅復帰・社会復帰へのサポートがしっかり行われているんですね。今日はありがとうございました。

帰り道

――おつかれさまでした。独自の取り組みを充実させている精神科病院、いかがでしたか。
- うわさ通り、さまざまな独自の取り組みを導入し、患者様の退院を応援していました。精神科急性期治療病棟では3カ月以内の退院、精神療養病棟では時間をかけながら退院に導くサポートを行っていて、精神保健福祉士、作業療法士、臨床心理士(公認心理士)、看護師や看護助手も患者様の心身のリハビリに取り組んでいるそうです。また、退院後は訪問看護で地域での生活を支えているそうですよ。
――見学をしていて、印象に残ったことはありましたか?
- 患者様の心を整えるために、「マインドフルネス」を取り入れていることです。マインドフルネスとは、医療機関だけでなく、世間一般でも注目を集める心理療法で、不安やストレスの軽減はもちろん、睡眠の質の向上や、集中力アップにも効果的なんだとか。
――では、ここはちょっと、というところは?
- 看護部長としては、スキルアップの機会を更に充実させいきたいそうです。家庭を持つ職員が多いので、できるだけ勤務時間内に勉強会の時間を設けるなど、いろいろ工夫しているそうです。
――最後に、ここだけの話をひとつお願いします。
- 新型コロナの収束まで自粛予定とのことですが、職員間の交流を深めるために、卓球部、山楽部、テニス部、陸上部など、さまざまなサークルを結成して活動しているそうです。サークル活動には多職種が参加しているので、他部署のスタッフとも親しくなりやすく、新人さんの参加も大歓迎だそうですよ。
地域に開かれた精神科病院で、チーム医療を学びたい方
精神科に興味があり、未経験からチャレンジしたい方