介護施設の看護師の業務内容 そのメリットとデメリット

2023年12月23日

介護施設 看護師

介護施設の看護師の業務内容 そのメリットとデメリット

介護施設の看護師は、介護スタッフと協力して入居者の身体介護をしたり、医療や看護の立場から健康管理や医療行為を行ったりと、利用者の生活を多方面からサポートする役割を担います。看護師の約7割が勤務する病院看護師とは、役割や業務内容、働き方は大きく異なります。

介護施設で働く看護師の業務内容やメリット・デメリット、病院看護師との違いについてご紹介します。介護施設の仕事について知りたい方、転職を検討している方は参考にしてください。

ページ目次

1.介護施設で働く看護師の役割とは

介護施設では、介護士と看護師が連携しながら入居者のサポートを行います。介護士は入居者の生活全般をサポートするのが主な仕事ですが、看護師は医療従事者としての立場から健康を守ることが求められています。そして、そこで働く看護師は、施設入居者の健康管理や医療行為を行います。

例えば、医師が常駐しない介護施設の場合、入居者の容体が急変した際には、看護師が応急処置、救急隊員や医師への引き継ぎの役割を担います。医療的な判断を任せられるケースも多く、その仕事には大きな責任を伴います。

2.介護施設の主な種類

介護施設は、入居の目的や条件、運営主体などによってさまざまな種類があります。主な介護施設を3つピックアップし、それぞれの特徴をご紹介します。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは、要介護度3以上の入居基準が定められた公的な介護施設です。食事や入浴などの身体介護や日常生活支援といった介護サービスが中心です。
そのため、高い医療ケアが必要な場面は少なめです。看護師の夜間配置義務はないため、夜間の医療ケアが必要な方は入居ができないケースもあります。

有料老人ホーム

有料老人ホームには、介護付きと住居型の2種類があります。介護付き有料老人ホームの場合、要介護者のみが入居する「介護専用型」、自立・要支援と要介護のどちらもが入居する「混合型」に分けられます。
住居型有料老人ホームには、自立・要支援・要介護の方が入居可能です。どちらも身体介護や日常生活支援が中心で、医療ケアを行う場面は少なめです。

デイサービス

デイサービスとは、デイサービスセンターや特別養護老人ホームなどの介護施設に日帰りで通いながら介護ケアを受けるもので、「通所介護」とも呼ばれています。なお、デイサービスの対象者は、要介護の認定を受けた方のみです。
食事や入浴のサポートのほか、レクリエーションや機能訓練なども受けられます。入居者の社会的な孤立を防ぐこと、ご家族の負担を減らすことが主な目的です。

3.介護施設で働く看護師の業務内容

介護施設で働く看護師は、主に入居者・利用者の健康管理や療養、医療行為を行ないます。具体的な業務内容を見ていきましょう。

「健康管理」に関する業務

非入居者の健康管理のために、介護施設の看護師は以下のような業務を行います。
○体温や血圧を測定する(バイタルチェック)
○歯ブラシや綿棒を使って口腔ケアをする
○爪切りや爪やすりを使って爪を整える
○耳垢を除去する

「療養」に関する業務

入居者の療養のために、介護施設の看護師は以下のような業務を行います。
○皮膚へ軟膏を塗布する、湿布を貼る
○軽微なケガに対する処置(専門的な判断や技術を必要としないもの)
○人工肛門などのストマ器具にたまった排泄物の廃棄作業
○自己導尿を補助するカテーテルの準備

医師の指導のもとで行う「医療業務」

医師からの指示や指導がない場合、看護師による医療業務は医療法によって禁止されています。しかし、一般の看護師が医師の指示や指導のもとで行える医療業務もあります。

医師の指示・指導を受けた看護師が行える医療業務の一例は以下のとおりです。
○投薬
○点滴
○採血
○たんの吸引
○床ずれ処置
○尿道カテーテルの挿入

4.介護施設で働く看護師のスケジュール

介護施設 看護師 1日のスケジュール

介護施設で働く看護師は、以下のようなスケジュールで1日を過ごしています。

9:00出勤・全体ミーティング・予定確認など。
9:30入居者の健康チェック……入居施設を巡回し、入居者一人ひとりの健康を確認する。
10:00医療処置……医師の指示・指導のもと、入居者の健康状態に合った医療ケアを行う。
11:00入浴前後の対応……介護職と連携し、入居者の健康確認など入浴前後の対応を行う。
12:00食事介助……介護職と連携し、入居者の食事介助や見守りを行う。
13:00昼食休憩
14:00入居者の健康チェック・レクリエーションなど。入居者との交流を行う。
15:30カンファレンス・記録・物品補充など……介護施設内のカンファレンスへの参加、入居者の健康記録、夜間や翌日に備えて備品チェックや物品補充を行う
17:00申し送り……夜勤のスタッフへ引き継ぎを行う。
17:30退勤

5.介護施設勤務に向いている看護師とは

介護施設では、適切な健康チェックやアドバイスを行うために、高齢者を中心とした利用者の生活や健康状態などをしっかりと観察する必要があります。そのため、交流を楽しめる人やコミュニケーション能力が高い人、長いスパンのなかで信頼関係をじっくりと築いていける人に向いています。

また、介護施設は残業が少なく、夜勤のない勤務形態も多々みられます。子育てや介護、趣味などプライベートとの両立がしやすいため、ワークライフバランスを重視した働き方をしたい人にも向いているでしょう。

6.病院看護師との違い

介護施設の看護師は、病院看護師と比べて医療ケアを行う場面が少ないのが特徴です。日々の業務は入居者の健康管理が中心になりますので、病院から転職した人は医療行為の少なさに驚くかもしれません。

ただし、利用者の容体に急に異変が起こった場合、病院では医師による判断で動きますが、介護施設では看護師が判断する必要があります。小型の施設では看護師の人員も少ないため、責任が求められます。

また、病院では、医療サポートから入院患者の身のまわりのお世話まで看護師が行いますが、介護施設では、介護スタッフが中心となって身体介護を行なっています。もちろん看護師が介護スタッフとともに入居者の介護業務を行うこともありますが、役割分担があるため限定的です。

介護施設の現場では、仕事をする上で介護スタッフとの連携が非常に大切になります。

7.看護師が介護施設で働くメリット・デメリット

介護施設 看護師 メリット デメリット

看護師が介護施設で働くメリット・デメリットには、以下のようなものがあります。

介護施設で働くメリット

介護施設では病院のように急患が入ることもなく、基本的には決められた時間に業務を終了できます。場合によっては時間外勤務が発生することもありますが、病院と比べると残業は少なめです。デイサービスなど夜勤のない介護施設も多く、子育てや介護と両立しながら活躍できる職場です。

また、介護施設で看護師が行う業務は、入居者の健康管理や服薬サポートが中心です。介護士とともに身体介護を行うこともありますが、病院看護師と比べると体力的な負担は少なめです。年配の看護師やブランクがある看護師も働きやすい職場といえるでしょう。

メリット○病院に比べて忙しくない
○夜勤がない
○残業がほとんどない
○体力的な負担が少ない
○技術・経験が少なくても働くことができる

介護施設で働くデメリット

介護施設の入居者は高齢者が中心のため、高齢者とのコミュニケーションが必須です。認知症や障害を抱えている利用者とは、意思疎通を取るのに苦労することもあるでしょう。

しかし、介護施設では介護士やケアマネージャーなど他の職種のスタッフと連携し、入居者のサポートをしていきます。不安や悩みを共有しやすい環境のため、高齢者との交流が苦手でもそれほどデメリットにはならないかもしれません。

また、介護施設では医師の指示のもとで看護師が医療ケアを行います。看護師としてのやりがいはありますが、対処の方法や判断など責任の大きさに戸惑うこともあるでしょう。

給与・ボーナスなど待遇面において、病院看護師に比べて少なくなるのもデメリットの一つです。夜勤や残業が少ない分、収入は大きく減ることになるでしょう。

デメリット○コミュニケーションが苦手な人には向かない
○病院に比べて収入が少ない
○看護師としてのスキルアップが難しい

8.まとめ

介護施設の看護師は、利用者の健康管理を担う重要な仕事です。入居者・利用者に喜んでもらえる仕事ですので、やりがいを感じることができます。

病院看護師に比べると身体的な負担も少ないため、仕事と家庭を両立したい看護師、結婚や出産などでブランクが空いた看護師に向いている職場といえます。高齢化社会が進む中、介護施設の看護師のニーズはこれからますます増えるでしょう。

看護師の転職先の選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。

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