
スタッフの意見が反映されやすい風通しの良さは、中小規模病院ならではの魅力ですよね。上尾中央医科グループ(AMG)の「東川口病院」は、198床の地域密着型病院で、現場のアイディアを積極的に採用して魅力的な病院づくりに取り組んでいるとのこと。休暇制度や子育て支援も充実していて、長く安心して働ける環境が整っているらしいので、さっそく見学に行って確かめてきます!
- 形 態
- ケアミックス型病院
- 所在地
- 埼玉県川口市/東川口駅
- 病床数
- 198床(一般103床・障害45床・回復期リハビリテーション病棟50床)


玄関
「東川口病院」へのアクセスは、JR武蔵野線・埼玉高速鉄道「東川口駅」から徒歩5分。歴史ある病院ですが、ハード面・ソフト面ともにリニューアルを重ねていて、数年前に手術室を増設・リニューアルして以降、整形外科を中心に救急の受け入れや手術件数が増えているそうです。玄関で迎えてくれたのは、グループ病院から異動して1年目の手術室勤務の看護主任さん。今日はよろしくお願いします。


手術室
まずは、手術室へ。患者様の手術への不安を少しでも解消できるよう、リニューアルを機に手術室の壁の一部やユニフォームをピンク色にしたのだとか。「周辺地域には高度急性期を担う三次救急病院は充実していますが二次救急病院が少なく、特に整形外科の骨折患者様に24時間対応する病院が不足気味です。当院では地域のニーズに合った医療体制の確立を目指し、急性期看護に興味のある方を積極的に採用しています」。


病室
つづいて、術後の疼痛管理チームの活動を見学しました。「当院では、多職種による専門チーム活動が盛んで、疼痛管理チームは医師・看護師・薬剤師などで構成されていて、手術を受けた患者様の苦痛を緩和していけるよう院内回診をして介入しています。他にも、RRS(院内迅速対応システム)・周術期・ACP(アドバンス・ケア・プランニング)などの全6チームが稼働していて、すべて現場の声から発足しているんですよ」。


看護部長室
お次は、2025年3月に看護部長に就任した神谷看護部長にお会いしました。スタッフのために力を入れていることを教えてください。「組織全体のウェルビーイング(幸福感)を高めていけるよう、一人ひとりがより良く働ける状態を維持する施策について、皆で考えています。施策の一つとして、2023年から企業と看護AIの開発を進めていて、2025年度内には導入できそうなので楽しみにしているところです」。


病室
特別に、もうすぐ導入予定の看護AIを紹介していただきました。「こちらは、音声からAIが文字起こしを行い、看護の経過記録を自動作成してくれるシステムで、全国に先駆けて活用していきます。マイクをつないだノートパソコンを携帯し、ベッドサイドを巡回しながら記録業務ができるので、業務の負担軽減と効率化につながっていくと思います」。


スタッフステーション
スタッフステーションを覗くと、カンファレンスが行われていました。「当院では多職種連携・協働の意識が浸透していて、職種を超えた意見交換が活発です。198床の中規模病院なので、ほとんどのスタッフの顔と名前が一致します。どの病棟にもさまざまな職種が出入りし、職種間の情報共有・意見交換が日常的に行われています」と、皆さん。


病棟
お次は、「摂食嚥下プチナース」という院内認定看護師制度を修了した看護師さんにお会いしました。「『患者様が最期まで口から食べること』を重視した関わりをしていけるよう、院長の協力も得て2018年に導入した制度です。現在20名の摂食嚥下プチナースが在籍し(2025年4月)、週1回の院内ラウンドを通して、摂食嚥下機能が低下している患者様に介入しています」と、看護師さん。


スタッフステーション
スタッフステーションの一角では、新人指導が行われていました。「OJTが円滑に進むように部署ごとに実地指導者を配置するとともに、スタッフ全員が指導者という意識を持ち、部署全体で新人さんを育てています。新卒者は1年間、中途入職者は約3カ月を目安にひとり立ちをサポートしていて、第二新卒の方やブランクのある方は指導期間を延長するなど、個別に対応しています」と、看護主任。


透析センター
透析センターに伺うと、臨床工学技士さんと看護師さんが連携していました。「透析センターは外来患者様用と入院患者様用に分かれていて、個々の状態に適した治療を実現しています。透析装置はすべてオンラインHDF対応の最新式で、臨床工学技士による水質管理や、看護師によるフットケアなどに力を注いでいます」と、お2人。今後は、透析センターの拡充も検討中とのこと。


スタッフステーション
つづいて、病棟の看護係長さんがシフト表を見せてくれました。お休みの希望は通りますか?「ええ、月10日ある公休のうち、5日間は希望に沿えるように調整しています。有休取得率も90%以上と高く、家庭やプライベートを大切にしながら働ける環境なんですよ」と、看護主任。月5日間も希望休が通るとはビックリです!


保育室
最後は、敷地内の別館にある24時間保育室へ。「保育室があるので、産休・育休後の職場復帰率はほぼ100%で、出産を機に日勤常勤・時短勤務・パート勤務などの働き方を選ぶスタッフも多いです。最近は男性看護師の育休取得実績も増えているので、男女ともに家庭を大事にできる職場づくりを進めているんですよ」と、看護主任。子育てサポートも手厚いですね。今日はありがとうございました。

帰り道

- ――お疲れさまでした。現場のアイディアを採用して魅力的な病院づくりを進める病院、いかがでしたか。
- うわさ通り、スタッフの提案がカタチになりやすい職場で、看護部長もより良い職場づくりに向けた新しいアイディアを募集していました。有志のメンバーによる専門チーム活動も盛んでしたし、院内認定看護師制度もスタッフの声から誕生したのだとか。地域の患者様のために、こんな活動がしたい・こんな勉強がしたいという意欲に溢れたスタッフさんがたくさん活躍している職場です。
- ――働きやすさはどうですか?
- 年間120日の公休がある上に、有休取得率も90%以上と高く、とても働きやすい環境が整っています。希望休は月5日申請OKで、ほぼ100%通してもらえるそうで、皆さん家庭やプライベートを大切にしていました。
- ――では、ここはちょっと、というところは?
- 近年、救急搬送の受け入れや手術件数が増えているため、急性期病棟は残業が発生しがちとのこと。ただ、今後は人員体制を強化し、看護AIなどの最新技術も積極的に活用しながら残業削減に努めていきたいそうです。
- ――最後に、ここだけの話をひとつお願いします。
- 看護部長としては、看護AIの導入を皮切りに業務の電子化を進めていき、現場の生産性を高めていく方針とのこと。同時に、AIには対応できない仕事の質を上げるため、スタッフのEQ(感情指数)が自然と高まるような、コミュニケーションが活発な職場づくりを進めていきたいそうです。
急性期看護に興味があり、特に整形外科を深めたい方
現場の意見が通りやすい風通しの良い職場で働きたい方