看護師のスキルアップにおすすめの資格4選

2023年12月23日

看護師 スキルアップ 資格

看護師のスキルアップにおすすめの資格4選

実務経験を積んだ看護師の中には、さらにスキルアップしたいと考えていらっしゃる方は多いと思います。そのためには資格取得がスキルアップの近道です。資格を持つことで、専門性を高めることができて仕事の幅は広がります。待遇面や転職活動においてもプラスの影響を得られるでしょう。

看護師が取得できる資格は数多くありますが、チャレンジするのであれば、「成長できる資格」「将来性ある資格」を選ぶのがおすすめです。

看護師のスキルアップに役立つ資格の「認定看護師」「専門看護師」「ケアマネージャー」「呼吸療法認定士」の4つをご紹介します。看護師として、さらに成長するための参考にしてください。

ページ目次

1.認定看護師

認定看護師とは

認定看護師とは、ある特定の看護分野で熟練した看護技術と知識を使い、レベルの高い看護を実践して看護ケアの質を向上させることを目的とした認定制度です。2020年3月の時点で、全国で20,721名の認定看護師が登録されています。

認定看護師は以下の役割を果たします。
●個人、家族及び集団に対して、高い臨床推論力と病態判断力に基づき、熟練した看護技術及び知識を用いて水準の高い看護を実践する。(実践)
●看護実践を通して看護職に対し指導を行う。(指導)
●看護職等に対しコンサルテーションを行う。(相談)

これまで認定看護分野は21分野(2026年度に終了)とされてきましたが、2020年度からは「特定行為に係る看護師の研修制度」の活用を推進した、新たな教育制度のもと19分野が教育開始となります。

【認定看護分野一覧】
※2026年度をもって教育終了の21分野
救急看護、皮膚・排泄ケア、集中ケア、緩和ケア、がん化学療法看護、がん性疼痛看護、訪問看護、感染管理、糖尿病看護、不妊症看護、新生児集中ケア、透析看護、手術看護、乳がん看護、摂食・嚥下障害看護、小児救急看護、認知症看護、脳卒中リハビリテーション看護、がん放射線療法看護、慢性呼吸器疾患看護、慢性心不全看護

【新たな認定看護分野一覧】
※2020年度から教育開始の19分野
感染管理、がん放射線療法看護、がん薬物療法看護、緩和ケア、クリティカルケア、呼吸器疾患看護、在宅ケア、手術看護、小児プライマリケア、新生児集中ケア、心不全看護、腎不全看護、生殖看護、摂食嚥下障害看護、糖尿病看護、乳がん看護、認知症看護、脳卒中看護、皮膚・排泄ケア

【参考】:資格認定制度 | 日本看護協会 認定看護師

認定看護師になるには

新制度での認定看護師になる条件としては、看護師実務が5年以上(認定看護分野3年以上含む)、認定看護師教育機関では1年以内に800時間程度の教育を受けることが必要です。新しい制度には特定行為研修のプログラムを受講する必要があるため、これまでの制度よりも教育時間数は大きく増えました。

その認定審査を受けて合格すれば、特定認定看護師になることができます。また、合格後は5年ごとの資格更新が必要になります。

ちなみに、2019年の認定看護師の認定審査では、受験者数1,496名中1,329名が合格しています。試験の難易度としては、それほど高くないといえます。

認定看護師の資格取得でもっとも大変なのは、教育機関を選び、そこに入学し勉強を続けられるかどうかです。教育機関は全国で数が限られており、入学するための選抜試験を受け、入学後も科目を履修し演習や実習を数ヶ月間行わなければなりません。

そのため、通学期間中は仕事のシフトを調整する必要がでてくるでしょう。認定看護師の資格取得のためには、そのような勉強時間・通学時間を確保できるかが問題になります。

認定看護師になるメリット

認定看護師は、特定の分野の専門性を高めることができ、それを実践に生かすことができます。スキルアップしたい看護師には将来性を考えても適した資格であることは間違いありません。

認定看護師の資格を取得すると、以下のようなメリットがあります。
●昇進が期待できる
●病院内での仕事の範囲が広がる
●日中の業務が増えて夜勤が減る・免除になることがある
●教育過程で一緒に学んだ友人ができる
●院内での人脈が広がる
●転職に有利になる
●昇給が期待できる

2.専門看護師

看護師、スキルアップ、専門看護師

専門看護師とは

専門看護師とは、複雑で解決が難しい看護上の問題を持った人や家族、集団に対して、特定の専門看護分野の知識や技術を身につけた高い水準の看護を提供できる専門職のことです。現在13の分野があり、2020年3月時点で全国に2,479名の専門看護師が登録されています。

専門看護師は以下の役割を果たします。
●個人、家族及び集団に対して卓越した看護を実践する。(実践)
●看護者を含むケア提供者に対しコンサルテーションを行う。(相談)
●必要なケアが円滑に行われるために、保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行う。(調整)
●個人、家族及び集団の権利を守るために、倫理的な問題や葛藤の解決を図る。(倫理調整)
●看護者に対しケアを向上させるため教育的役割を果たす。(教育)
●専門知識及び技術の向上並びに開発を図るために実践の場における研究活動を行う。(研究)

専門看護師は、認定看護師に比べるとより専門的な知識や技術を持ち、ある看護分野全体のスペシャリストだといえます。期待される看護や実践のレベルは高く、患者や家族、医療者間などの調整や病院内外での看護師や他職種への指導などが求められるようになります。

【13の専門看護分野】
がん看護、精神看護、地域看護、老人看護、小児看護、母性看護、慢性疾患看護、急性・重症患者看護、感染症看護、家族看護、在宅看護、遺伝看護、災害看護

【参考】:資格認定制度 | 日本看護協会 専門看護師

専門看護師になるには

専門看護師は、認定看護師よりも資格取得難易度が高くなっています。専門看護師になるためには、看護師としての実践経験が5年以上(専門分野3年以上)、かつ看護系の大学院の修士課程(専門看護師コース)を終了し、そして必要な単位を取得したあとに認定審査に合格する必要があります。資格取得後は5年ごとの更新審査が必要になります。

2019年は12分野で258名が合格し、2018年の認定審査では受験者数257名に対して合格者数は196名となっています。

専門看護師になるための教育機関は認定看護師と比べても限定されます。そのため、学びたい分野によっては大学院の近くに引っ越しが必要になることもあるでしょう。

専門看護師を目指すには、基本的には「仕事を退職する」「休職する」などして、勉強に専念するケースが一般的です。ただし、病院によっては卒業後に仕事への復帰を前提として大学院通学を支援する病院もあります。

専門看護師になるメリット

専門看護師になることで、高い専門知識と技術を持っている看護のスペシャリストとして認められますので、大いにスキルアップが実現できます。この資格を有する看護師は少なく、さまざまなメリットが得られます。

専門看護師の資格を取得すると、以下のようなメリットがあります。
●管理職への昇進が期待できる
●大きな仕事を任せてもらえる
●病院内での業務範囲が広がる
●夜勤が減る・免除になることがある
●院内の内外で人脈が広がる
●転職に有利になる
●昇給が期待できる

3.ケアマネージャー(介護支援専門員)

看護師 スキルアップ ケアマネージャー(介護支援専門員)

ケアマネージャーとは

ケアマネージャー(介護支援専門員)とは、介護保険制度において要介護者や要支援認定を受けた人の相談や心身の状況に応じたサービスを提供する専門職です。訪問介護や看護などの在宅サービスが受けられるように、ケアプランの作成や市町村・サービス事業者や施設などとの連絡調整を行います。

介護を必要とする利用者とサービス事業者や自治体をつなぐという、介護の現場で重要な役割を担う仕事です。ケアマネ-ジャーは、主に居宅介護支援事業所や介護予防支援事業(地域包括支援センター)などで活躍しており、看護よりも介護分野の資格といえます。

高齢社会が進む中で、在宅医療のニーズが増えている現実があります。そのため、訪問看護師として、さらに活躍の幅を広げるためにケアマネ-ジャーの資格を目指す看護師が増えています。

ケアマネージャーになるには

ケアマネージャーになるには、保健医療福祉分野での実務経験が5年以上あり、介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、介護支援専門員実務研修の過程を終了する必要があります。 看護師は、5年以上の実務を経験すれば、ケアマネージャーの受験要件を満たします。

2019年度の全体の合格率は18.5%でした。そのうち看護師・准看護師の合格者は1,070人で全体の構成比率で見ると19%となっています。このようにケアマネージャーは難関試験であることが分かります。

ケアマネージャーになるには、「独学で勉強する」「短期の講習・講座を受ける」などにより、試験の合格を目指します。勉強範囲は医療や介護領域だけなく、それらに関わる法律なども含まれます。さらに試験に合格したあとは「介護支援専門員実務研修」という数日の実習と演習があります。

試験の難易度は高いですので本腰を入れて勉強しないと合格は難しいといえるでしょう。

ケアマネージャーになるメリット

在宅医療は、今後もそのニーズは増えていくことが予想されます。看護師の資格とケアマネージャーの資格を持つことで、医療の知識と経験を介護の現場でも活かすことができるでしょう。

ケアマネージャーの資格を取得すると、以下のようなメリットがあります。
●地域の医療に貢献できる
●夜勤の仕事は基本なし
●土日・祝日休みの職場も多い
●残業なしの職場も多い
●独立・開業も可能

4.呼吸療法認定士

呼吸療法認定士とは

呼吸療法認定士は、呼吸療法が必要な重症患者に対して専門的な知識と技術を用いてケアが実施できる専門職です。日本胸部外科学会、日本呼吸器学会、日本麻酔科学会の3学会より認定されます。ちなみに国家資格ではありません。呼吸療法認定士には、看護師の他にも臨床工学士、理学療法士、作業療法士も取得することができます。

呼吸療法認定士は、呼吸療法を支えるチームの一員として働くことができます。重症者の呼吸療法(吸入・酸素・呼吸理学療法・人工呼吸・機器の管理など)の重要性が高まる中、資格を取得することで活躍できるフィールドは広くなります。

高齢社会がさらに進み、呼吸療法を必要とする患者が病院やクリニック、在宅医療で増えることも予測され、この分野に興味があり、働く場所の選択肢を増やしたい看護師におすすめです。

呼吸療法認定士になるには

看護師が呼吸療法認定士の受験資格を得るには、実務経験2年以上、認定委員会が認める講習会や学会に5年以内に出席した分で125点以上の点数を取得していることが必要です。

講習会では、呼吸不全の病態や管理、呼吸リハビリテーション、人工呼吸器管理など呼吸療法に関わる内容が主になります。講習会や学会も全国各地で開かれていますが、遠方で開かれる講習会や学会に参加するときは、講習費以外に交通費や宿泊費がかかります。

呼吸療法認定士の試験は年に1回開かれ、5年毎に認定更新が必要です。2019年の合格者数は3,210名で合格率は67.2%でした。そのうち看護師は1,199名、理学療法士が1,269名となっています。看護師はこれまで合計27,342名(51.2%)が合格しています。

試験は公式テキストや参考書による独学あるいは民間の有料講座を受けて臨むことになります。

呼吸療法認定士になるメリット

呼吸療法認定士は国家資格ではなく認定資格であるため、これまでの業務内容が大幅に変化することはありませんが、知識や技術を学び、それを現場で生かすことができる資格であることは間違いありません。

呼吸療法認定士の資格を取得すると、以下のようなメリットがあります。
●看護師としての技術力が向上する
●呼吸器系病棟を持つ病院やクリニックで活躍できる
●病院によっては給与に反映される(手当がつく)
●転職に有利になる

5.まとめ

看護師として、もっとスキルアップしたいと考えるならば、資格取得にチャレンジしてみる価値はあります。ただし、資格を取得することが目的にならずに、その資格を通して、どのような看護師を目指すのかという「キャリアプラン」を計画した上で、トライすることが大切ではないでしょうか。

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