病棟で働きたいあなたへ:看護師の仕事・魅力・働き方をわかりやすく紹介

2025年04月24日

看護師というと、病棟で忙しく動き回る姿をイメージする方が多いかもしれません。たしかに病棟勤務はハードな一面がありますが、患者さんと深く関わり、看護師として多くの経験を積む絶好のフィールドでもあります

この記事では、病棟看護師の仕事内容や交代勤務、やりがいなどを詳しく解説します。病棟での勤務に興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください。

ページ目次

世間一般の「病棟看護師」に対するイメージ

世間的には、看護師といえば病院の病棟で働いている姿を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。SNSやテレビなどの影響もあり、「いつも忙しそう」「厳しくて怖い先輩がいる」「医師よりも格下で補助役」など、マイナスなイメージ、誤解を持つ方もいらっしゃるかもしれません。

一方で、「患者さんに献身的に寄り添うプロフェッショナル」「コミュニケーション力が高く、つらい場面でも笑顔で対応するタフな人」というポジティブなイメージも根強くあります。実際のところ病棟で働く看護師には、大変さとやりがいの両方があるのです。

病棟看護師とは

大学病院や総合病院など、入院設備がある施設の建物を「病棟」と呼びます。そこで働く看護師のことを「病棟看護師」といい、入院患者さんに対する看護ケアを中心とした仕事を担っています。病棟の種類や診療科によって対応する患者さんの症例や年齢層はさまざまで、常に変化に富んだ環境のなかで看護を提供するのが特徴です。

病棟看護師の主な仕事内容

病棟看護師は、患者さんの入院生活を支えながら医師やコメディカルスタッフと連携し、適切なケアを提供するのが役割です。以下の表に、主な業務内容をまとめました。

内容 詳細
バイタルサイン測定 患者さんの心拍数・血圧・呼吸数・体温などを定期的に測定し、健康状態をモニタリング
薬剤の管理・与薬 患者さんの処方薬を管理し、正確な時間と量で与薬し、薬の効果や副作用について観察
医師の診療・処置の補助 医師の診療・処置で必要な器具の準備、スムーズに進めるための補助
医療処置 採血やルート確保、創傷ケア、ドレーン管理など、医師の指示に基づき医療処置
日常生活援助 患者さんの食事・入浴・排泄・環境整備など、日常生活をサポート
ナースコール対応 患者さんや家族からの呼び出しに対応し、必要な看護や説明
予約・緊急入院対応 患者さんの入院オリエンテーション、退院支援計画書の作成、退院に向けた調整・指導
※病院によっては入院手続きも
手術・検査出し 手術前・検査前のオリエンテーションや事前処置と、手術・検査への送り出し、手術後・検査後のケア
カルテへの記載 患者さんの病状、ケアの内容、アセスメントした情報をカルテに記載
カンファレンス 病棟内のチーム、または医師・コメディカルと患者さんの病状やケアプランの共有・討議

看護師は、患者さんの命と生活を支える医療の要です。心拍数や体温などのバイタルサインを測定して健康状態を常時モニタリングし、医師の診療補助や採血・創傷ケアといった医療処置を行います。薬剤管理も重要な仕事で、与薬にも細心の注意を払い、副作用の有無を観察します。

さらに、入浴・食事・排せつなど日常生活の支援やナースコール対応、手術・検査前後のケア、入退院時の調整なども担います。情報はカルテに記録し、カンファレンスでチームと共有します

病棟看護師の交代勤務形態について

病棟看護師といえば夜勤や交代制勤務がつきものです。病院によって勤務形態は異なりますが、大きく分けて「2交代制」「3交代制」「夜勤専従」の3種類があります。交代制勤務の詳細については、以下の記事でも紹介していますので、併せてご覧ください。

①2交代制

2交代制は、日勤担当者と夜勤担当者が交代して働く形態です。日勤は多くの会社員のように、朝出勤して夕方に退勤するというスタイルです。一方、夜勤は夕方に出勤し、翌朝まで勤務します。

夜勤は1回あたり16時間程度と長く、身体への負担が大きい反面、夜勤後の「明け」と翌日の休みを組み合わせることで連休を取りやすい利点があります。月に4~5回夜勤に入るケースが一般的で、1回の夜勤で実質日勤の2日分の時間勤務するため給料面でのメリットも大きいといわれています

日勤 夜勤
8時〜17時(8時間勤務) 16時半〜9時(16時間勤務・休憩2~3時間)

※勤務先によって時間は異なります。

②3交代制

3交代制では、日勤・準夜勤・深夜勤の3つの形態に分かれて勤務します。夜勤1回あたりの時間は短くなるため、身体的な連続負担は減りますが、勤務時間が不規則になりやすいデメリットもあるのが特徴です。近年は、スタッフの負担軽減や病棟の方針によって2交代制を選ぶ病院も増えています。

日勤 準夜勤 深夜勤
8時〜16時半(8時間勤務) 16時〜1時半(8時間勤務) 0時〜8時半(8時間勤務)

※勤務先によって時間は異なります。

③夜勤専従

夜勤専従とは、日勤を担当せず夜勤シフトのみをこなす働き方です。1回あたりの勤務時間は2交代制と同様に16時間前後で、月10回程度夜勤に入るケースが多いです。夜勤手当がつくため収入が高めになる、日中を自由に使えるなどのメリットがある一方、夜型の生活リズムが合わない人には負担も大きいといえます。収入を重視される方や夜型生活が得意な方に向いているでしょう。 夜勤専従看護師の働き方やメリット・デメリットについては、以下の記事でも詳しくご紹介しています。

【種類別解説】病棟の種類にはどんなものがある?

一口に「病棟」といっても、患者さんの状態や治療方針によってさまざまなタイプがあります。
ここでは代表的な病棟の種類を紹介し、働き方や仕事内容の違いを解説します。

急性期病棟

急性期病棟とは、疾患を発症して間もない患者さんや手術直後など、集中して治療が必要な時期を対象とする病棟です。検査や手術、治療が行われるため、看護師は緊急対応や高度な医療処置に携わる機会が多くなります。

急性期病棟では患者さんの重症度が高く、集中的かつきめこまかいケアが求められるため、2交代制だけでなく3交代制を採用する病院も珍しくありません。3交代制はスタッフの負担軽減の意味合いがあるとされ、短時間の勤務でこまめに交代しながら高品質なケアを提供できるメリットがあります

地域包括ケア病棟

地域包括ケア病棟は、急性期治療がひと段落した患者さんを在宅や介護施設へ円滑に戻すための支援を行う病棟です。また、急性期からの受け入れや在宅・介護施設からの緊急受け入れも担っています。

看護師の主な業務としては、患者さんへの医療処置や日常生活のサポートに加え、在宅復帰に向けたリハビリやケアプランの調整なども含まれます。食事・入浴・排せつの介助や病室の環境整備などが中心で、患者さんやご家族とじっくり向き合う機会が多いのも特徴です

回復期リハビリテーション病棟

回復期とは、脳血管疾患や骨折などの急性期を脱した患者さんが、自宅や社会復帰に向けて身体機能の回復を目指す段階を指します。回復期リハビリテーション病棟では、転科・入退院対応、リハビリテーションに関する補助や日常生活援助などが主な業務です。

患者さんの医療依存度が比較的低いことが多いため、点滴や心電図モニターなどの医療行為は少なめです。その分、リハビリ専門職と連携したケアが多くなり、カンファレンスに積極的に参加し、患者さんの身体機能向上や在宅復帰を支えるのが大きな役割となります

慢性期病棟・療養病棟

慢性期とは、急性期を乗り越えて症状が安定しているものの、長期的な治療やケアが必要な状態をいいます。慢性期病棟や療養病棟では、長期入院が前提となる患者さんが多く、再発防止や体力維持に重きを置いた看護を行います。

急性期・回復期に比べると、緊迫した場面は少ないですが、高齢で寝たきりの患者さんが多いため、日常生活の補助や継続的な観察が必要となり、コミュニケーションスキルが求められます。長期的に患者さんと関わることで深い信頼関係を築きやすいのも特徴です。

■病棟の種類対比表

急性期 回復期 慢性期
● 発症直後や手術後で、24時間体制での観察や治療介入が必要な患者さん
● 人工呼吸器やECMOなどの高度医療機器で生命を維持する患者さん
● さまざまな診療科や年代
● 急性期を脱して、リハビリが必要な患者さん
● 脳神経系、整形系の疾患が多い
● 比較的幅広い年代
● さまざまな事情により、在宅では必要な看護が受けられない患者さん
● 比較的高齢で寝たきりの患者さんが多い
● 医療依存度は多岐に渡る(介護医療院は介護がメイン)
急性期 ● 発症直後や手術後で、24時間体制での観察や治療介入が必要な患者さん
● 人工呼吸器やECMOなどの高度医療機器で生命を維持する患者さん
● さまざまな診療科や年代
回復期 ● 急性期を脱して、リハビリが必要な患者さん
● 脳神経系、整形系の疾患が多い
● 比較的幅広い年代
慢性期 ● さまざまな事情により、在宅では必要な看護が受けられない患者さん
● 比較的高齢で寝たきりの患者さんが多い
● 医療依存度は多岐に渡る(介護医療院は介護がメイン)

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病棟看護師の業務を通じて得られること・魅力

病棟看護師は多忙で、緊急対応や夜勤など大変な面がありますが、そのぶん充実感や学びの多い職場でもあります。具体的には、以下のようなメリットが挙げられます。

患者さんや家族からの感謝の言葉

症状が改善した、退院できたときに「ありがとう」と声をかけられる喜びは、看護師の一番大きいやりがいといっても過言ではありません。

看護スキル・コミュニケーション能力の習得

日々の業務を通じ、基礎から応用までさまざまな看護技術が身につきます。患者さんはもちろん、医師やコメディカルスタッフとの連携にも役立ちます。

回復過程を身近で実感

患者さんが段階的に回復し、元気になっていく姿を間近で見ることができ、やりがいや達成感を得やすいです。

緊急時の対応力が養われる

特に急性期病棟などでは、突発的な対応が必要となる場面が多く、経験を通じて臨機応変な対応力が身につきます。

人と深く関わりながら、自分自身も成長できるのが病棟看護師の大きな魅力といえます。

病棟看護師の年収・給料はどのくらい?

厚生労働省の『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、看護師の平均年収は約508万1,700円(平均年齢41.9歳)です。新卒の基本給はおよそ月20万〜21万円程度で、勤続10年目(非管理職)の看護師だと基本給は約24.8万円が平均とされています。

残業時間は厚生労働省の調査では月平均6時間、日本看護協会の調査では約5.2時間と比較的少なめで、残業代(時間外手当)は月1万円前後が見込まれます。

ボーナスは年2回で、年間約85万6,500円が平均。若手のうちは年間約40万円、40代~50代で約100万円に達することが多いようです。新人看護師の場合、夏のボーナスが少額に設定されている、あるいは支給されないケースもありますが、年数を重ねるごとに着実にアップしていく傾向にあります。

病棟看護師になるには

病棟看護師として働くには、看護師国家試験に合格して看護師免許を取得する必要があります。看護師になるための年齢制限はなく、最短では中学卒業後に看護高等学校の5年一貫カリキュラムを修了し、20歳で資格取得できるルートも存在します。

一般的には高校卒業後、看護大学・看護短大・看護専門学校で3~4年間学び、21歳で資格取得を目指すケースが多いようです。国家試験は毎年2月ごろに実施され、新卒者の合格率は90%超えと比較的高めで、過去問を中心にしっかりと対策すれば合格の可能性は十分にあります。

病棟看護師はこんな人にオススメ!

病棟看護師は、身体的にも精神的にもハードな仕事ですが、以下のような方には向いているといわれています。

体力・気力に自信がある人

日々の業務、夜勤にかかわらず、多くの患者さんを担当するため、日々多忙になります。

忍耐力や継続力がある人

病状や患者さんとのコミュニケーションなど、さまざまな面で思うようにいかないことも多く、長期的な視点でケアを行う必要があります。

チームで働くことが好きな人

医師やコメディカル、他職種と密に連携し合う場面が多いです。

人の感情に寄り添える人

患者さんだけでなく、ご家族や他の看護師、医師、他職種のスタッフに目を向けられる柔軟性が求められます。

細かい変化に気づける人

小さな体調変化が重症化を防ぐカギとなることが多いです。また、ニーズを先回りしたケアやサポートを行うことで、患者さんやご家族に喜ばれます。

自分の成長に意欲的な人

常に学びがあり、新しい技術や知識を吸収し続ける姿勢が重要です。

病棟看護師にはさまざまな資質が求められますが、それだけにやりがいや学びが多く、しっかりと仕事に向き合うことで待遇アップにもつながります。

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まとめ:病棟看護師は多忙だけれど学びの多い仕事!

病棟看護師は、夜勤や緊急対応で体力的にも精神的にも大変な一面がありますが、その分、多彩な症例を経験することができ、基本的な知識から高度な看護スキルまで幅広く習得できる現場といえます患者さんの回復に寄り添えるやりがいは格別で、看護師としての成長を実感しやすい環境です。

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医療21コラム記事監修者
株式会社アドバン

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