医療法人 福慈会

メンタルホスピタルかまくら山

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看護部長インタビュー

看護部長の魅力がわかるコンテンツです。supported by 医療21

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看護部長インタビュー

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看護部長の、看護や職場についての“想い”が聞けるコンテンツです。

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人が育つ職場です。温かな治療方針で
患者様に寄り添う看護を実践しています。

Profile

看護部長/阿部生行
北海道出身。趣味の音楽活動を続けるために、安定収入を得やすい看護師を志したユニークな経歴。総合病院の精神科からスタートし、上司や先輩に恵まれて精神科看護に関心を持つようになり、3つの精神科単科病院を経験。30歳で病棟主任に就任以降、病棟師長や訪問看護ステーションの管理者などを経て、2019年に同院の看護部長に着任。院内暴力や隔離・拘束などの課題に目を向け、「包括的暴力防止プログラム」のトレーナー資格を取得。管理業務の傍ら、週に一度は精神科訪問看護に出向き、自身の看護観を見つめ直している。

これまでの歩み

ずっと精神科看護に携わっているのですね。

私が看護学生の頃は、「女性=看護婦」「男性=看護士」という名称の時代で、看護士の就職先と言えば、手術室・透析室・精神科の3択でした。通っていた看護学校の隣には精神科病院があり、職員と患者様がキャッチボールを楽しむ姿や、花壇に水をあげている光景などを見る中で、手術室や透析室よりは自分に向いていると感じたんです。

どんな新人時代でしたか?

お世辞にも「できのいい新人」とは言えなかったです(笑)。看護学生時代は音楽活動に夢中でしたから、「看護師になったら生活が安定するので嬉しい」くらいの熱量で働き始めました。

でも、初めて働いた職場で素晴らしい上司・先輩に出会い、看護の勉強に打ち込むようになったんです。特に、精神科特有の課題である暴言暴力・隔離・身体拘束などと向き合う中で、自分や周囲を守るために「CVPPP(包括的暴力防止プログラム)」のトレーナー資格を取得しました。現在、当院でも研修を開催しています。

精神科訪問看護にも携わっていたそうですね。

はい。アルコール依存症で40年近い入院生活を送ってきた患者様との出会いがきっかけでした。その患者様が、定期診察で退院の話をされた際、退院後の孤独や生活の不安から大きなトラブルを起こしてしまったんです。私の中で「退院後の生活の不安にどう寄り添うか」というテーマが芽生え、結果として精神科訪問看護につながりました。

精神科病棟の看護師は入院中の支援しか学んでいない方が大半ですから、当院では併設の訪問看護ステーションを活かして、身体と精神だけでなく、社会的背景や性格にまで理解を深め、退院後を見据えた支援ができる看護師を育てていきたいという想いがあります。

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看護についての考え方

どんな看護を大切にしていますか。

認知症も含めてすべての精神疾患を抱える患者様の根底には「不安」があるということを、しっかりと理解した上で関わることです。不安は簡単に消えませんから、まずはこちらが「あなたの不安を理解しています」というサインを送ることが、関係づくりの第一歩と言えます。

私は、患者様と良い関係性を築くコツを多く学べるのは、看護師のホームである病院よりも、患者様のホームである訪問先ご自宅だと思っています。ですので、当院の看護師には、在宅医療の現場で看護を提供する経験をして欲しいと考えています。

病院と在宅医療の現場とでは異なるものですか?

入院中の患者様は病院のルールを守って生活していますが、在宅医療では立場が逆転し、訪問する医療従事者が患者様のご自宅のルールを尊重する必要があります。例えば、訪問時に玄関で靴を揃えなかったら「もう来なくていい」と言われてしまう可能性もあるわけです。

看護とは「患者様の立場に寄り添っていくこと」なので、患者様にとってのホームの場所で看護をすることはとても大切なのです。なので、看護部の訪問看護研修には、在宅医療に適した人材に参加を促すだけでなく、接遇を勉強して欲しいスタッフにも参加してもらっているんですよ。

全国でも希少な「内観・森田療法」に対応しているそうですね。

はい。森田療法とは、患者様が自然を感じながら「心の自然治癒力」を高め、自己と向き合う心理療法で、当院ではその効果に着目し、薬だけに頼らない精神科医療を実践しています。認知症の専門医である院長も、なるべく薬を使わずに周辺症状を改善しようと取り組んでいます。例えば「徘徊」に対しても、「徘徊を抑えても認知症は根治しないから、安全に徘徊できる院内環境を整えよう」という方針です。

当院ではスタッフみんなが、そのコミュニケーション能力で患者様のプラスの感情を引き出し、心の安定を図りながら穏やかに過ごせる時間を増やしているので、私が赴任する以前から隔離や身体拘束がとても少ないのが特徴なんです。

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職員への思い

看護部長としてスタッフに対して心がけていることはありますか。

「スタッフの笑顔を守ること」が看護部長の大事な役割と考え、優しさだけでなく厳しさも大切にしています。チームをまとめる立場として「どんな時に厳しさが必要か」を考え、ブレない軸を持つようにしています。

スタッフがミスした時に、怠惰やおごりや不勉強などが原因の場合は厳しく注意します。その人のためでもあります。ですが、そうした原因ではないミスの場合は、私のマネジメントで守ります。誰にでも思いがけずミスをしてしまうことはありますし、そそっかしい・マイペースなど、さまざまな個性の仲間が集まっているのですから。

職場の自慢できるところを教えてください。

後輩の育成に熱心に取り組む中堅看護師の多さが一番の自慢です。新卒・第2新卒の方や、精神科が未経験の方が入職しても、中堅が中心となって基礎からしっかり教育できる体制が整っています。人が育つ職場には明るい未来がありますから、今後もさらに魅力的な部署になると思います。

メッセージをお願いします。

新卒・第2新卒で入職した看護師と話をしていると、自分が関心を持って選んだ道なのに、精神科の看護師であることを引け目に感じている人がいます。看護学生の間で昔から「診療科ヒエラルキー」のようなものが存在し、精神科看護は他診療科ほどは技術力が強く必要とされないため、そんなふうに感じてしまうんでしょうね。

精神科はコミュニケーション能力が問われる領域です。患者さんに向き合うどの領域の看護師にとってもコミュニケーション能力はとても重要で、欠かせないスキルです。ですから、「精神科を選んだ君は、看護師として大きな武器を手にするチャンスに巡り合えたんだよ。すごく得しているよ!」と、教えてあげたいですね。

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プライベートの過ごし方

子どもとの時間を大切にしています。

休日に小学生の息子と遊ぶ時間が、一番のリフレッシュになっています。家族でドライブに出かけたり、息子が始めたバスケットボールの練習や試合を見に行ったりするのが楽しみです。

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