これまでの歩み
-新人時代の思い出を教えてください。
当院のリハビリテーション技術科には、私が新人の頃からジョブローテーション制度があり、各病棟を回ってさまざまな疾患へのアプローチを学べたことがとても印象に残っています。当時は技術に自信がなく、毎日不安でいっぱいだったので、担当患者様の情報収集に時間をかけ、毎回入念な準備を重ねて仕事に望んでいましたね。
あの頃から十数年が経過し、今ではすっかり図太くなってしまいましたが…(笑)。自信を持てない新人さんを見ていると、昔の自分を思い出します。でも、最初は自信がなくて当たり前で、一人前になるまでは謙虚に学び続ける姿勢が大事ですから、小さな成功体験を積み重ねて自信をつけていけるよう支えていきたいと思っています。
-印象に残っている患者様とのエピソードはありますか?
ジョブローテーションを終えて内科病棟チームに配属になった頃、長いあいだ人工呼吸器を装着している高齢の男性患者様を担当したことがありました。毎日のように面会に訪れる奥様は、1日も早く退院できるように励ましの声をかけ続けていて、患者様自身も奥様の気持ちに応えようと、毎日リハビリを頑張っていたんです。
担当の理学療法士として、患者様とご家族の希望を叶えたいと強く想い、まずは人工呼吸器の離脱を目指そうと、呼吸のリハビリの学びを深め、先輩からたくさんアドバイスをいただきました。医師や看護師とも情報共有を重ねるうちに、自然と仲間意識が芽生え、職種を越えたチーム連携と患者様の努力、ご家族の支えによって、無事に抜管して自宅に帰ることができた日の感動は今でも忘れられません。
その患者様が退院する際、「リハビリさんのおかげだよ。ありがとう」と感謝の言葉をくれましたが、私一人の力では成し遂げることができなかったと思います。患者様が前向きな気持ちでリハビリに取り組むには、他職種の協力や、ご家族の存在が大きな力になると改めて実感した体験でした。
-内科病棟を長く担当されているそうですね。
そうなんです。リハビリと聞くと、骨折や脳卒中などの運動器疾患や脳血管疾患を抱える方への訓練をイメージする方が多いですが、私は内部疾患を専門とするリハビリに興味があります。当院には幅広い領域に携われる環境があるので、入職後のジョブローテーションで自分に合った領域を見つけてみてください。
当院では、セラピスト一人ひとりが興味のある領域で活躍してほしいという想いから、担当病棟の希望をできる限り叶えていて、本人が異動を希望しない限り担当を変えない方針です。ただ、訪問リハビリを兼務したり、病棟と同じ診療科の外来リハビリに携わったりする機会はあるので、視野を広げながら成長していけると思います。