看護師を続けるなら一度は深く学んでおきたいのが循環器領域。急変対応や、重症患者様へのケアも経験できますし、心電図が読めるようになると、看護の幅がぐっと広がります。循環器救急に力を注ぐ「綾瀬循環器病院」では、循環器内科と心臓血管外科が一体となり、地域屈指の治療実績を誇っているんだとか。看護部では教育サポートを整え、循環器看護の経験者だけでなく、未経験者も歓迎しているそうなので、さっそく見学に行って働く魅力を見つけてきます!
- 形 態
- 循環器科・心臓血管外科専門病院
- 所在地
- 東京都足立区/北綾瀬駅
- 病床数
- 76床 (集中治療室〈ICU・CCU・HCU〉16床、一般病床60床)
玄関
東京メトロ千代田線「北綾瀬駅」周辺は、自然が多い住宅街。千代田線・日比谷線・常磐線・東武線・つくばエクスプレスが走る「北千住駅」まで約10分で、都心へのアクセスも便利です。駅から3分ほど歩くと、おしゃれな外観デザインの「綾瀬循環器病院」に到着しました。玄関で迎えてくれたのは、高度治療室(HCU)で活躍する看護主任さん。新卒で入職後、10年以上循環器看護に携わっているプロフェッショナルです。
救急外来入口
まずは、心臓病専用救急車であるモービルCCUを見せていただきました。「車内にはこのようなCCU機能を搭載していて、近隣病院から対応困難な心臓病患者様の転院搬送の要請を受けると、医師や看護師などが同乗して出動し、搬送する間にも救命処置を行います」。モットーとする「断らない救急」を実現するため、病院救急救命士を複数名採用し、年間約1800台の救急搬送を受け入れ、年間約150台のモービルCCUが出動しているそうです。
HCU(高度治療室)
つづいて、看護主任さんが活躍するHCU(高度治療室)へ。「HCUには18ベッドが配置され、ICUとほぼ同等の医療設備や診療体制を整えています。全76床の中規模病院なので、各部門が横断的な連携を図りながら患者様を診ており、看護師は複数の部署を兼務しているのが特徴です。例えば、HCUと手術室を兼務する看護師や、病棟と救急外来・カテーテル室を兼務する看護師などもいます」。幅広い業務を経験できるんですね。
HCU(高度治療室)
看護部には、男性看護師さんの活躍も増えているそうです。「ここ数年で男性看護師の割合が増え、現在は全体の約1割を占めています。当院は性別に関係なく活躍できる職場で、能力さえあれば男女関係なく管理職を任されますし、女性職員だけでなく、男性職員も育休を取得しています。ちなみに私も去年第2子を授かったので3カ月ほど育休をいただいたんですよ」と、看護主任さん。
ハイブリッド手術室
お次は、「ハイブリッド手術室」へ。普通の手術室と違うんですか?「手術室に、最先端のカテーテル検査室の機能を統合させていて、ステントグラフト内挿術やTAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)などの手術が可能になりました。低侵襲なのでハイリスクの患者様にも実施でき、入院期間も比較的短期間となります」。2つのカテーテール室とハイブリット手術室を活用し、年間2000件以上のカテーテル検査・治療に対応しているんだとか。
ナースステーション
スタッフステーションに行ってみると、モニターに手術室の様子が映像で流れていました。こちらはリアルタイムの映像ですか?「ええ。手術室の映像を院内各部署にライブ配信できるシステムを導入し、部署間の連携強化を目指しています。こちらのモニターを確認すれば手術の進行状況がわかるので、適切なタイミングで術後ベッドを用意し、必要な医療機器などもすぐに使える状態に準備できるんです」と、看護主任さん。
院内研修の様子
「こちらは、豚の心臓を用いた院内研修の様子です」と、写真を見せてくれました。「当院では、専門性の高い心臓血管手術に多く対応しているので、看護師も『心臓の解剖学』を理解するため、人の心臓と構造が似ている豚の心臓を用いた院内研修を行っているんです。医師が講師となり、心臓の各部位の構造を解説しながら縫合を実演してくれるんですよ」。スキルアップのために、毎月さまざまなテーマの院内研修が開催されるそうです。
病棟
病棟に行くと、看護部の皆さんが集まってくれました。循環器看護が未経験でも入職できますか?「もちろん大丈夫。看護部では、プリセプター制度や新人研修などの教育体制を整え、未経験から循環器看護のプロを目指したい方を歓迎しています。キャリア支援として資格取得支援制度が整っているため、NPや集中ケア認定看護師、特定看護師などのスペシャリストが複数名活躍しています」と、皆さん。
病室
病室を覗くと、看護師さんが患者様とお話をしていました。「入退院や手術が多くて忙しい現場ですが、患者様と向き合いながら、病気の悪化・再発を防ぐための生活習慣指導もしっかり行っています。特に、難度の高い手術を受けた患者様には、身体面だけでなく精神面へのアプローチも行い、退院後の生活について一緒に考える時間も設けているんです」と、看護師さん。素敵な取り組みですね。
心臓リハビリテーション室
つづいて、心臓リハビリテーション室へ。「術後はこちらで専門的なリハビリを行い、自宅退院される患者様がたくさんいます。もう少し治療・リハビリが必要な方には、関連病院の『あやせ循環器リハビリ病院』への転院を勧めています。当院から歩いてすぐの距離ですし、スタッフ間の連携が密に取れているので、患者様の情報をしっかりと共有した上で送り出せるんですよ」。
職員食堂
最後は、地下1Fの職員専用フロアにある「職員食堂」を案内していただきました。「ランチは日替わりで1食350円。メインの料理以外はバイキング形式なので、男性としても大満足の量です。朝(1食250円)も夜(1食400円)も食べられるので、1人暮らしのスタッフの中には、3食ここで済ませている方もいるんです」。忙しい日々を乗り切るためには、栄養が欠かせないですよね!今日はありがとうございました。
帰り道
――おつかれさまでした。循環器救急に力を入れる専門病院、いかがでしたか?
- 76床という家庭的な病院規模でも、大きな病院に引けを取らない医療設備と実績があり、年間約1800台の救急搬送を受け入れています。「循環器専門」と聞くと敷居が高く感じるかもしれませんが、新卒・第2新卒者や循環器未経験者の入職も歓迎していて、教育にとても力を入れているそうです。
――見学をしていて、印象に残ったことはありますか?
- 看護師の活躍の場は、救急外来・病棟・HCU・手術室・カテーテル室があり、複数の部署を兼務しているスタッフさんが多くて驚きました。患者様を継続的に診ながら幅広い知識を身に付けることができますし、1週間の中で働く部署が変わることでマンネリ化せず新鮮な気持ちで働けるそうです。
――では、ここはちょっとという点は?
- 心疾患の発症が多い寒い季節は、どうしても残業が続いてしまうんだとか。ただ、夏場は定時に退勤できることも多いですし、お子さんのお迎えなどで残業が難しい場合は、なるべく定時に退勤できるように配慮してもらえるそうです。
――最後に、ここだけの話を教えてください。
- 職員専用フロアには、食堂の他に広い休憩室が設置されていました。テレビを観ながらくつろいだり、読書をしたり、お昼寝をしたり、皆さんのんびり過ごされていました。仕事中は忙しくても、心身ともにリラックスできる空間が職場にあるっていいなぁと思いました。
未経験から循環器看護のプロフェッショナルを目指したい方
循環器看護に興味があり、病棟だけでなく、手術室やHCUでも活躍したい方