【HCU看護師の仕事とは?】ICUとの違いから役割、転職のポイントまで解説

2025年08月27日

【HCU看護師の仕事とは?】ICUとの違いから役割、転職のポイントまで解説

HCU(高度治療室)は、ICUと一般病棟の中間に位置し、急性期患者のケアや多職種連携、アセスメント力が身につく、看護師にとっては特別なステージです。この記事では、HCUにおける看護師の役割や仕事内容、一般病棟との違い、転職成功のポイントまで詳しく解説。HCU配属の不安や疑問、キャリア形成のヒントまで全て網羅します。

「もっと専門的な看護にチャレンジしたい」「HCUに異動・配属されるかも」と考えられている看護師の方必見です。

この記事のポイント

  • HCUとICU・一般病棟との明確な違いを比較表も交えて解説
  • HCU看護師の仕事内容や求められるスキル、1日の流れ
  • 実際に働くメリット・デメリット、キャリアアップの展望、やりがい
  • どんな人がHCU看護に向いているか、未経験からの転職可否
  • HCU転職の成功ポイント、よくある質問Q&A
ページ目次

HCU(高度治療室)とは?

HCU(高度治療室)とは?HCU(High Care Unit=高度治療室)は、一般病棟よりも手厚い看護と高度な治療を必要とするものの、ICU(集中治療室)ほどの重症患者ではない方が入室する病棟です。

術後や重症化リスクの高い患者さんを集中的に観察・治療する“セミICU”のような役割を持ち、一般病棟とICUの中間に位置する「急性期ケアの最前線」といえます

医師やリハビリスタッフ、薬剤師など多職種が連携し、患者さんの回復に向けたきめ細かいサポートを行う場として、全国の急性期病院で設置が広がっています。

ICU・一般病棟との違いを徹底比較!

HCU、ICU、一般病棟は患者の重症度・受け持ち人数・忙しさ・残業・給与・求められるスキルなど、様々な点で異なります。下記の比較表をもとに、代表的な違いを解説します。

項目 HCU ICU 一般病棟
患者さんの重症度 ICUでの治療後や術後など、集中的なケアが必要な患者 生命維持に集中した管理が必要な重症患者 病状が安定し、集中的な観察が不要な患者
看護師1人あたりの受け持ち人数 2~4名程度 1~2名程度 7~10名以上
忙しさ・業務負担 集中的な観察やケアが多く、緊張感は高い。急変対応も頻繁にある。 最も多忙で、緊急対応が24時間発生する。常に高度な判断とスキルが求められる。 HCUやICUに比べて落ち着いているが、患者数が多いため業務量は多い。
残業 急変や申し送りで発生することがあるが、ICUよりは少ない傾向。 急変対応や医療機器の管理に時間がかかり、残業は多くなりがち。 業務量によるが、比較的定時で帰れることが多い。
平均月収 35〜45万円程度 40〜55万円程度 28〜35万円程度
求められるスキル 急性期看護の知識、アセスメント能力、急変対応力 高度な専門知識、冷静な判断力、集中治療のスキル 幅広い疾患の知識、コミュニケーション能力、日常生活援助スキル
主な入室患者 術後、呼吸不全、循環不全、脳卒中など 重症心不全、敗血症性ショック、多発外傷など 慢性疾患、手術後の経過観察などル

特に患者1人あたりの担当数の違い(HCU:2~4人、ICU:1~2人、一般:7~10人)や、急変対応の多さ・専門的手当による給与面などが大きく異なります

HCUは「ICUの緊張感と、一般病棟のチームケア」の両方をバランスよく経験できる病棟といえます。

HCU看護師の仕事内容とは?

HCU看護師は、急性期に特化した観察・処置、医療機器管理、家族ケアなど、一般病棟以上に多岐にわたりかつ責任ある役割を担います。ここからは、実際の業務内容を詳しく解説します。

バイタルサインの測定・管理

HCUの患者さんは状態が不安定なことが多いため、バイタルサイン(体温・血圧・脈拍・呼吸数・SpO2)の高頻度な測定・観察が不可欠です。日勤帯は数時間おき、夜間は1~2時間ごとに測定し、数値の小さな変化にも敏感に対応することが求められます。

たとえば、血圧低下や心拍数上昇は容態悪化のサインなので、異常の兆しをいち早く察知し、アセスメントと報告・初期対応を行うことが、患者さんの命を守るカギとなります。

観察した結果を単に記録するだけではなく、「今、この患者さんに何が起きているか」を読み取るプロの目が求められる業務です

医師の指示に基づく点滴管理、薬剤投与

HCUでは複数の点滴・薬剤投与が同時進行で行われることも多く、看護師には高い専門性が求められます。輸液ポンプやシリンジポンプの操作、昇圧剤や鎮静剤などの投与速度の調整、投与量の厳密な管理はもちろん、投与後の副作用や反応の観察・報告も重要な仕事です。

一つのミスが患者さんの生死に関わる場面もあるため、常に冷静さと慎重さが必要とされます。実際には、現場では複数の点滴ラインを間違えないようラベル管理やダブルチェックを徹底し、薬剤投与時は複数人で確認し合うのがHCUのスタンダードなやり方です。

人工呼吸器やモニターなどの医療機器の管理・操作

HCUには、人工呼吸器や生体情報モニター、心電図、シリンジポンプなど様々な高度医療機器が配置されています。看護師は、設定値やアラーム対応、日々の点検・管理、必要時の機器操作なども担当し、患者さんの状態を常にモニターしながら、異常があれば迅速に医師へ報告・対応を行います。

たとえば人工呼吸器の場合、呼吸数・酸素濃度の変更や回路交換、加湿水の管理、アラーム対応まで幅広い知識と実技が必要です。モニター管理も、数値の変化に即座に気づき、必要な処置ができることがHCU看護師のプロフェッショナルとしての必須スキルです。

患者さんの容態急変時の対応

HCUでは、急変リスクが常にあることを前提に業務が進みます。心停止や呼吸停止、ショックなどの緊急事態が起きた際は、看護師が第一発見者となり、BLS(一次救命処置)やALS(二次救命処置)の実施、応援要請、薬剤や医療機器の準備などを同時進行で行います。

特に医師到着までのスピード対応、多職種との連携、冷静な判断力と迅速な行動力が求められ、日々のシミュレーショントレーニングや事例検討が重要視されます。この急変対応こそがHCU看護師のやりがいであり、成長の源泉となる部分です。

患者や家族への説明、精神的サポート

HCUの患者さん・ご家族は、治療のストレスや今後の見通しへの不安を強く感じています。看護師は医師の説明を補足し、専門用語を噛み砕いて分かりやすく伝えたり、不安を和らげる声かけや、日常生活ケアを丁寧に行うことも大切な役割です。また、ご家族への説明・傾聴や、面会時のサポートも重要な仕事となります。

患者さん・ご家族の気持ちに寄り添い、安心できる環境づくりを担うことで「HCUに入って良かった」と思ってもらえる存在を目指します

HCU看護師として働くメリット・デメリットを紹介!

HCUの看護師の仕事には、他にはない魅力と、特有の大変さがあります。下記の表に要点をまとめました。

項目 メリット デメリット
スキルアップ・知識 専門的なスキル(急変対応、アセスメント能力など)が身につく。 常に新しい医療知識や技術を学び続ける必要がある。
キャリア ICUや救命救急センターへのキャリアアップにつながる。 一般病棟への異動時にギャップを感じることがある。
やりがい 重症患者が回復していく過程を間近で見ることができ、大きなやりがいを感じられる。 急変対応などで精神的なストレスや肉体的な疲労を感じることがある。
給与・待遇 一般病棟よりも専門的な手当がつくため、給与が高くなる傾向にある。 業務の緊張度や責任の重さに見合わないと感じる場合もある。
ワークライフバランス ICUに比べると残業は少ない傾向にある。 急変や緊急入院などで、予定外の残業が発生することがある。

「やりがい>忙しさ」と感じられるかどうかが大きな分岐点です。スキル・経験・キャリアアップ志向の方には強くおすすめですが、ワークライフバランスを重視される方は、勤務条件や残業状況も事前にしっかり確認しましょう。

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HCU看護師のやりがいとは?

HCU看護師のやりがいとは?HCUで働く最大の魅力は高度な看護を経験し、成長できることです。ICUに準じるレベルの知識・技術・アセスメント能力、急変対応力が養われます。最新の医療機器や薬剤、急性期看護の現場力を習得できるのは、今後のキャリアでも大きな武器になるでしょう

患者さんの回復過程を間近で感じられることも大きなやりがいです。重症だった患者さんが回復し、一般病棟や在宅へと移っていく姿を見送れることは、HCUならではといえます。患者さん・ご家族からの感謝の言葉も直接届く場面が多く、「自分の看護が役立っている」という実感が持てます

キャリアアップにつながるのも魅力的です。HCUでの経験は、ICU・救急外来・救命センター・訪問看護の急性期対応など、幅広い現場で求められるスキルセットです。認定看護師や専門看護師へのステップアップを考えている方にもおすすめです

HCU看護師はどんな人に向いている?

HCU看護師に向いているのはなにも特別な人である必要はありません。どなたでも“向き・不向き”はありますが、「専門性を磨きたい」「新しいチャレンジをしたい」という気持ちがあれば十分に活躍できます。特に以下のタイプの方は適性が高いです。

探究心と向上心がある人

HCUは常に新しい知識や技術が求められる現場です。「もっと深く学びたい」「急性期医療の最新情報をキャッチしたい」という学ぶ意欲を持ち続けられる人は、どんどん成長できます。自分で課題を見つけ、積極的に勉強会や研修に参加する姿勢も大切です。

冷静かつ迅速な判断力を持つ人

急変対応が日常的に発生するHCUでは、何が起きても動じない冷静さと、状況を的確に判断する力が求められます。プレッシャーの中でも落ち着いて優先順位を付け、チームと協力しながら最善の対応ができる方は、現場でとても信頼されます

協調性があり、チームワークを大切にできる人

HCUでは医師やリハビリスタッフ、薬剤師など他職種との連携が不可欠です。患者さんを中心にチームで支える意識、周囲との円滑なコミュニケーション力、自分一人で抱え込まず、困った時に周囲と助け合える協調性が重要となります

細かい変化に気づく観察力がある人

バイタルサインや表情、発語、動きの微妙な変化を見逃さず、「何かがおかしい」と感じた時にすぐにアクションを起こせる観察眼はHCU看護師にとっては大きな武器です。患者さん一人ひとりの小さな変化を日々積み重ねることで、大きな急変を未然に防ぐことができます。

HCU看護師への転職を成功させるためのポイントとは?

HCU看護師への転職を成功させるためのポイントとは?HCU配属を目指す場合、どんな経験やスキルが求められ、転職活動はどう進めればよいのでしょうか?ここからは、HCU看護師への転職成功のカギを解説します。

どんなスキル・経験が必要?

HCUの看護師には主に以下の3つの経験・スキルが求められます。

  • 1.急性期病棟や外科系病棟での経験
    循環器・脳外科・外科系病棟での急変対応経験があれば非常に有利です。
  • 2.高いアセスメント能力
    患者の小さな異変を素早く察知し、医師や多職種と連携して対応できる力は不可欠です。
  • 3.コミュニケーション能力・協調性
    多職種連携が前提のため、報告・連絡・相談・記録力も重要です。

しかし、未経験でも「学ぶ意欲」があれば歓迎してくれる医療機関も多いため、熱意と自信を持ってチャレンジしましょう。

どのように転職活動を進めたらいい?

HCUへの転職成功には、情報収集、自己PR、教育体制の確認がカギです。

  • 1.求人情報の徹底比較
    病院によってHCUの体制や受け持つ診療科、教育内容が異なります。ご自身が目指すキャリアやライフスタイルに合った病院を探しましょう。求人票や公式HPだけでなく、口コミや先輩看護師の評判も参考にするのがおすすめです。
  • 2.面接対策
    「なぜHCUで働きたいのか」「どのような看護観・キャリアを持っているか」「急変対応や多職種連携の経験」など、志望動機や自己PRを明確にして臨みましょう。
  • 3.教育体制・研修制度の確認
    未経験・他科からの異動でも安心して働けるよう、OJTやプリセプター制度、定期的な研修の有無をチェックしましょう。現場で迷ったときに相談できる体制が整っている職場は、安心してキャリアを積める大きなポイントです。

HCU看護師でよくある質問を3つ紹介!

HCU看護師に関する転職・配属に関するよくある疑問にQ&A形式でお答えします。転職活動前の情報整理や、現場での働き方のイメージづくりに役立ててください。

Q未経験でもHCU看護師になれますか?

多くのHCU求人では「急性期経験者」「外科・循環器病棟経験者」が優遇される傾向にありますが、教育体制が充実している病院では未経験者でも採用・育成のチャンスがあります

急性期病棟での経験や、アセスメント・急変対応のスキルがあるとスムーズですが、研修やOJTが整っていれば新しいチャレンジも可能です。自信がなくてもまずは求人情報を集め、教育内容やサポート体制を確認してみましょう。

QHCU看護師の平均給与はどのくらいですか?

HCU看護師は一般病棟よりも高い専門手当が支給される傾向があり、平均月収は35~45万円程度です(病院や地域、経験年数で差あり)。

ICUほど高額ではありませんが、夜勤手当や特殊勤務手当が加算され、給与面でもやりがいを感じやすい職種です。転職時には基本給+各種手当の額、賞与や昇給の実績、残業代の支給方法も含めて総合的にチェックすることをおすすめします。

QHCU看護師の忙しさは?残業は多いですか?

HCUは急性期医療の現場なので、急変や緊急入院によるイレギュラーな業務が発生しやすいです。特に日勤帯や夜勤明けに急な対応が入ると残業になることもあります。ただし、ICUに比べて受け持ち人数が多く、緊急度・重症度はやや下がるため残業が常態化しているというケースは少ない傾向があります。

病院によってはワークライフバランスを重視し、シフトや残業削減に力を入れているところもあるので、求人票の残業時間・年間休日数も必ず確認しましょう。

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HCUで専門性を磨けば、自信を持って急性期の患者さんのケアができる看護師になれ、キャリアアップにもつながります

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医療21コラム記事監修者
株式会社アドバン

人材採用サポート・Web事業・印刷物制作を中心とする事業を展開する株式会社アドバンを1991年に設立。人材採用サポートの中でも、医療・介護業界に特化する専門求人サイト『医療21』『介護21』を運営。リアルな求人情報を届け、人材紹介ではない”ベストマッチングの場”を提供している。

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