2025年11月25日

結婚や出産、育児を機に離職した看護師は少なくありません。こうした潜在看護師は、厚生労働省「看護師等(看護職員)の確保を巡る状況」によると全国に約130万人いるとされ、深刻な人手不足に直面する医療現場では潜在看護師の復職への期待が高まっています。
看護師は専門性が高く、働き方の選択肢も豊富なため、家庭と両立しながら再び現場に立つことも可能です。ただし、復職には準備や心構えが必要です。
本記事では、潜在看護師が安心して復職するための実践的に役立つポイントを解説します。
この記事のポイント
- ナースセンターなどで無料の研修や職業紹介が受けられる復職支援制度を活用すれば、ブランクがあっても安心して再就業できる。
- 生活経験や共感力を活かし、患者さんや家族に寄り添った看護ができることが潜在看護師の強み。
- 働きやすい復職先としては、外来診療所、介護施設、訪問看護、健診センター、献血センターなど、夜勤がなく柔軟な勤務が可能な職場。
- 復職先のチェックポイントとしては、時短勤務や急な休みに対応できる体制、院内保育所の有無など、家庭と両立できる環境が重要。
- 面接時は、勤務条件だけでなく、職場の雰囲気や相談しやすさ、教育体制なども確認が必要。
―― 潜在率が高い年齢層とその理由
―― なぜ復職しづらい?ライフイベントと制度の壁
―― 潜在看護師が復職するための支援制度
2.復職を目指す潜在看護師がやるべき3つの準備
―― 準備その1:医療技術のアップデートと研修制度
―― 準備その2:履歴書・職務経歴書の書き方のコツ
―― 準備その3:非常勤・短時間勤務から始めてみる
3.潜在看護師が復職しやすい職場とは?
―― 外来・介護施設・訪問看護といった選択肢
―― 子育て・介護と両立できる職場環境の条件
―― 職場見学・面接で確認すべきポイント
4.潜在看護師の復職についてのよくあるご質問
―― Q.1ブランクが長くても復職できますか?
―― Q.2復職支援制度はどこで受けられますか?
―― Q.3履歴書に離職理由はどう書けばいいですか?
5.潜在看護師が働きやすい復職先を見つけるなら医療21
6.まとめ:ブランクがあっても復職可能!潜在看護師ならではの強みを活かす
潜在看護師130万人の現状と背景

※厚生労働科学研究成果データベース「潜在看護職員数の推計~看護師の潜在数と潜在率(2020年度)」を参考に医療21でグラフ作成
看護師免許を持ちながら医療現場で働いていない「潜在看護師」は、2020年度の推計では約52万人とされていましたが、2023年度の厚生労働省資料では約130万人にまで増加しています。
これは看護師免許保有者の約4割に相当し、看護師不足が深刻化する中で、復職支援の重要性が高まっています。
次章では、潜在率が高い年齢層や復職を阻む制度的な壁、そして復職支援制度の実情について詳しく解説します。
潜在率が高い年齢層とその理由
就業中の看護師の年齢構成を見ると、近年は60歳以上の就業者が増加する一方で、30〜40代の離職率が高く、潜在看護師の中心層となっています。
特に30〜39歳の層は、結婚・出産・育児といったライフイベントが重なる時期であり、夜勤や長時間勤務との両立が難しいことから、離職に至るケースが多く見られます。2023年度の厚労省資料では、若年層の構成比が減少し、60歳以上の構成比が2008年比で倍増していることが示されており、世代間の就業傾向の違いが浮き彫りになっています。
※出典:厚生労働省「看護師等の確保を巡る状況」(令和5年7月7日 第2回看護師等確保基本指針検討部会 資料)~就業看護職員の年齢階級別構成割合の推移
なぜ復職しづらい?ライフイベントと制度の壁
看護師が復職しづらい理由の一つは、出産・育児・介護などのライフイベントによる離職後、医療現場のハードな勤務体制に戻ることへの不安です。夜勤や長時間労働が多く、家庭との両立が難しいと感じる人が多くいます。
また、制度面では、復職支援研修や職場紹介などの情報が十分に届いていないことも障壁となっています。2023年度の厚労省資料では、ナースセンターによる支援があるにもかかわらず、制度の認知度や利用率が低いことが課題として挙げられています。
潜在看護師が復職するための支援制度
潜在看護師の復職支援制度は全国のナースセンターや自治体で整備されていますが、制度の存在自体を知らない人も多く、利用率は高くありません。
理由としては、情報発信が限定的であることや、制度内容が複雑で理解しづらいこと、さらに「ブランクがある自分が本当に復職できるのか」という心理的な不安が挙げられます。
各地域では講義・演習・実習を組み合わせた研修や個別相談が用意されており、まずは気軽に問い合わせてみることが復職への第一歩です。
主に以下のような支援制度があります。
| 地域・団体名 | 支援制度名 | 主な内容 | 問い合わせ先 |
|---|---|---|---|
| 厚生労働省 | 看護職のキャリアと働き方支援 | 潜在看護師向けに「再就業支援研修」「職場紹介」「相談窓口」などを提供 | 都道府県ナースセンター |
| 公益社団法人 日本看護協会 | 届出制度「とどけるん」 | 潜在看護師が氏名や連絡先、就業状況などを都道府県ナースセンターに届け出ることで個別の状況に応じた復職支援情報を受け取れる | |
| 横浜市医師会 × 横浜市医療局 | 復職支援研修会(技術編・キャリア編) | 採血・点滴・フィジカルアセスメントなどの技術研修+「自分らしく働く」キャリア講座 | 横浜市医師会 |
| 関西医科大学 × 地元医師会 | 看護師リカレントスクール | 実践的な医療技術研修+復職後のキャリア支援 | 関西医科大学 |
| 公立藤田総合病院 × 地域医師会 | 5日間の復職支援研修 | シミュレーター演習や個別相談を含む実践型プログラム | 公立藤田総合病院 |
その他、各地域の看護協会や医師会、ハローワークなどで随時復職支援を行っています。
復職を目指す潜在看護師がやるべき3つの準備
復職を目指す潜在看護師にとって、ブランクによる不安はつきものです。しかし、段階的な準備を行うことで、安心して現場に戻ることができます。
まずは医療技術や知識のアップデート、次に履歴書や職務経歴書の見直し、そして無理のない働き方から始めることが大切です。ここでは、復職に向けた3つの具体的な準備ステップをご紹介します。
準備その1:医療技術のアップデートと研修制度
医療現場では日々技術や機器が進化しており、数年のブランクでも知識や手技にギャップが生じることがあります。復職を目指す潜在看護師にとって、まず取り組むべきは医療技術のアップデートです。
各都道府県のナースセンターでは、講義・演習・実習を組み合わせた復職支援研修が開催されており、採血やバイタル測定などの基本技術から最新の感染対策まで幅広く学べます。研修は無料または低額で受講でき、託児付きのプログラムもあるため、育児中の方でも参加しやすいのが特徴です。
復職への不安を軽減し、自信を持って現場に戻るための第一歩として、積極的な活用をおすすめします。
準備その2:履歴書・職務経歴書の書き方のコツ
看護師としての資格や経験は復職の前提ですが、履歴書・職務経歴書では「離職理由」と「復職の動機」が重視されます。
現在の採用現場では、ブランクの背景にあるライフイベント(育児・介護など)を前向きに伝えることが評価されやすく、単なる事実よりも「今後どう働きたいか」「どんな貢献ができるか」を明確にすることが重要です。
人間関係などネガティブな離職理由は避け、協調性や意欲を伝える表現に工夫を。書類は単なる経歴ではなく、職場に安心感を与える「自己紹介」と捉えて準備しましょう。
準備その3:非常勤・短時間勤務から始めてみる
復職を目指す際、いきなり正職員としてフルタイム勤務に戻るのは体力的・精神的に負担が大きいこともあります。現在は、非常勤職員やパート・アルバイト、派遣など多様な働き方が選べる時代です。
特にフルタイム勤務では夜勤が含まれることが多く、2交代制(例:日勤・夜勤)や3交代制(例:日勤・準夜勤・深夜勤)など、勤務体制によって生活リズムへの影響も大きくなります。
まずは短時間勤務や週数日のシフトから始めることで、業務の流れや職場環境に徐々に慣れることができます。外来診療所や介護施設、訪問看護などでは柔軟な勤務形態の求人も多く、家庭との両立を重視する方にも適しています。
潜在看護師が復職しやすい職場とは?
復職を目指す潜在看護師にとって、働きやすい職場環境の選択は重要なポイントです。夜勤のない外来や介護施設、訪問看護などは、家庭との両立がしやすく、短時間勤務や非常勤から始められるケースも多くあります。
また、職場の理解や柔軟なシフト体制、子育て支援制度の有無も復職のしやすさに直結します。
ここでは、復職に適した職場の種類や環境条件、見学・面接時に確認すべきポイントを詳しく解説します。
外来・介護施設・訪問看護といった選択肢
潜在看護師が復職する際、夜勤や急性期対応の少ない職場を選ぶことで、心身の負担を軽減できます。
下記のような職場は、ブランクによる不安や家庭との両立を抱える看護師にとって、復職のハードルが低く、段階的に現場に慣れていける環境が整っています。
| 就業場所 | 主な特徴・メリット | 勤務形態の柔軟性 | 夜勤の有無 |
|---|---|---|---|
| 外来診療所・クリニック | 日勤中心で業務が安定。急性期対応が少なく、ブランク明けでも始めやすい。 | 高い | なし |
| 介護施設 | 健康管理や生活支援が中心。看護師の役割が明確で、責任の範囲が限定されている。 | 高い | 施設による |
| 訪問看護 | 利用者宅でのケアが中心。時間・曜日の調整がしやすく、家庭との両立に適している。 | 非常に高い | なし |
| 健診センター | 定型業務が多く、採血・測定などが中心。短時間勤務や非常勤の求人が多い。 | 高い | なし |
| 献血センター | 採血業務が中心。医療処置が限定的で、ブランクがあっても復職しやすい。 | 高い | なし |
また、医療処置の範囲が限定されているケースも多く、再学習の負担が少ないことも選ばれる理由の一つです。復職支援制度と併用することで、安心して再スタートを切ることができます。
子育て・介護と両立できる職場環境の条件
子育てや家族の介護と両立しながら働くには、柔軟な勤務体制と職場の理解が欠かせません。特に復職直後は、生活リズムや家庭の事情に応じた働き方ができる環境を選ぶことが、長く安心して働き続けるための鍵となります。
以下のような条件が整っているかを、求人情報や面接時に確認しておくと安心です。
- 時短勤務や日勤のみのシフトが可能か
- 急な休みに対応できる体制があるか
- 子の看護休暇・介護休暇の取得実績があるか
- 院内保育所や託児支援制度があるか
- シフトや勤務日数の相談がしやすい雰囲気か
- 同じような立場のスタッフが在籍しているか
これらの条件が揃っていれば、家庭と仕事のバランスを保ちながら、無理なく復職を進めることができます。
職場見学・面接で確認すべきポイント
復職を検討する際は、求人情報だけでなく、職場見学や面接を通じて実際の雰囲気や働き方を確認することが大切です。特に子育てや介護との両立を考える場合、柔軟な勤務体制や職場の理解度は重要な判断材料になります。
以下のポイントを意識してチェックしましょう。
- シフトや勤務時間の相談がしやすいか
- 急な休みに対応できる体制があるか
- 職場の人間関係や雰囲気は良好か
- 同じような立場のスタッフが在籍しているか
- 教育・研修制度が整っているか
- 面接時に復職への不安を相談できる雰囲気か
これらを事前に確認することで、復職後のミスマッチを防ぎ、安心して働き始めることができます。
潜在看護師の復職についてのよくあるご質問
看護師として働く中で、ライフステージの変化や職場環境の悩みから離職を選ぶ方は少なくありません。復職を考える際には、「ブランクが不安」「家庭と両立できるか」など、働き方やキャリアに関する疑問が多く寄せられます。ここでは、潜在看護師の方が復職を検討する際によくある質問と、その解決のヒントをまとめました。復職への一歩を踏み出すための参考にしてください。
Qブランクが長くても復職できますか?
はい、ブランクが長くても復職は十分可能です。各都道府県のナースセンターでは、再就業支援研修や職場紹介を通じて、復職を希望する看護師をサポートしています。医療技術の再習得や職場見学、短時間勤務からのスタートなど、段階的な復職方法も整っているため、安心して現場に戻ることができます。ブランクの長さよりも「今後どう働きたいか」が重視される傾向にあります。
Q復職支援制度はどこで受けられますか?
ナースセンターは、都道府県看護協会が運営する公的機関で、看護師の復職を支援する研修や職業紹介、相談窓口を設けています。ブランクがある方でも安心して再就業できるよう、技術研修や職場見学の機会も提供されています。インターネット上では「eナースセンター」から情報検索や登録も可能です。
Q履歴書に離職理由はどう書けばいいですか?
履歴書に離職理由を書く際は、前向きな表現を心がけることが大切です。たとえば「出産・育児のため一時的に離職」「家族の介護に専念するため退職」など、事情を簡潔に伝えつつ、復職への意欲を添えると好印象です。「看護職として再び現場で貢献したいと考え、復職を希望しています」といった一文を加えることで、採用側に前向きな姿勢が伝わります。
潜在看護師が働きやすい復職先を見つけるなら医療21
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まとめ:ブランクがあっても復職可能!潜在看護師ならではの強みを活かす
看護の現場を一度離れても、復職への道は用意されていますので、復帰したいと思ったら躊躇(ちゅうちょ)する必要はありません。
外来や介護施設、訪問看護、健診センターなど、家庭と両立しやすい職場は多く存在し、復職支援制度も各地で整備されています。ブランクがあるからこそ、患者さんや家族の気持ちに寄り添える視点や、生活経験を活かした対応力は大きな強みです。
自分に合った働き方や職場環境を見極めながら、一歩ずつ復職への準備を進めていきましょう。看護師としての再スタートは、きっと新たなやりがいと自信につながります。
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株式会社アドバン
人材採用サポート・Web事業・印刷物制作を中心とする事業を展開する株式会社アドバンを1991年に設立。人材採用サポートの中でも、医療・介護業界に特化する専門求人サイト『医療21』『介護21』を運営。リアルな求人情報を届け、人材紹介ではない”ベストマッチングの場”を提供している。










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