年齢、性別は関係する?看護師の年収モデル紹介

2023年12月23日

年齢、性別は関係する?看護師の年収モデル紹介

看護師という仕事は、いわゆる「手に職」の代表的職業としてよく語られますよね。「専門性の高さ」による「安定的な雇用」の象徴的職業や、また一般的には「給料が高い」というイメージを抱く人も多いとか。

でも、実際にはどうなのでしょう?「責任が重い割には手取りが低い」、「夜勤や時間外労働、精神的・肉体的不安が大きく割に合わない」と感じるナースも少なくないようです。

そこで、平均年収、働く場所・働くスタイル・年齢・性別によって給与額は異なるのか…など、気になる看護師の収入について、医療21が調査してみました。

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看護師の年収は高いってホント?

看護師の年収水準を測る比較例として、高収入職業と言われている医師と弁護士を見てみましょう。医師の平均年収は2025年現在、約1,436万円(厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」などによる)、弁護士の平均年収は約1,119万円(日本弁護士連合会の調査による)です。。

これに対して、2025年時点での看護師の平均年収は約520万円(厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」による)。高収入職業の医師や弁護士に比べれば低いかもしれませんが、看護師の平均年収は全産業平均約445万円を上回る水準です。特に女性の平均年収としては高い部類に入ります。では、働く場所や働き方によって、看護師の年収に差は出るのでしょうか?実態を見てみましょう。

働く地域による看護師年収の違いと暮らしやすさ

さまざまなデータをもとに、都道府県別に看護師の平均年収を調査してみました。金額が高い順に以下のランキング表で示してみます(2025年現在)。

順位 都道府県 平均年収
1 大阪府 約568万円
2 神奈川県 約546万円
3 静岡県 約545万円
3 山梨県 約545万円
5 富山県 約539万円
5 山形県 約539万円
7 福井県 約537万円
8 山口県 約536万円
8 宮城県 約536万円
8 岡山県 約536万円
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11 京都府 約532万円
12 和歌山県 約530万円
12 兵庫県 約530万円
14 千葉県 約527万円
15 岐阜県 約525万円
15 秋田県 約525万円
17 東京都 約523万円
17 愛知県 約522万円
19 奈良県 約520万円
20 三重県 約519万円
21 埼玉県 約517万円
22 栃木県 約513万円
23 広島県 約509万円
24 茨城県 約504万円
25 長野県 約502万円
26 新潟県 約499万円
27 群馬県 約498万円
28 福島県 約495万円
29 石川県 約493万円
30 島根県 約487万円
31 北海道 約479万円
32 滋賀県 約476万円
33 香川県 約475万円
34 佐賀県 約474万円
35 高知県 約473万円
36 愛媛県 約471万円
36 沖縄県 約471万円
38 鳥取県 約469万円
39 福岡県 約466万円
40 長崎県 約461万円
41 岩手県 約459万円
42 徳島県 約446万円
43 鹿児島県 約442万円
44 青森県 約435万円
45 大分県 約433万円
46 熊本県 約419万円
47 宮崎県 約416万円

比較的年収が高い都市部は、物価・家賃も高い傾向があります。そのため、手取りでの「生活のゆとり」は必ずしも年収上位県が最も高いとは限りません。

一方、年収が全国平均より高めの地方都市は、家賃や生活費が都市部よりも低い傾向があるので、可処分所得(自由に使えるお金)が多く「暮らしやすい」と感じる人が多いようです。

個人のライフスタイルや価値観によって「暮らしやすさ」は異なりますが、年収と物価のバランスを重視するなら、地方の高年収県が有利といえるかもしれません。

勤務先によって給料格差はある?

看護師の年収は勤務先によって大きく異なり、夜勤や手当の有無、業務内容、勤務体制も影響します。そこで、2025年時点の各種調査・求人データ等をもとに、看護師の主な勤務先による平均収入額も調べてみました。

勤務先(施設) 平均年収の目安 備考・特徴
大学病院 約470万~520万円 夜勤や交代制が多い。福利厚生・教育体制が充実。
総合病院(公立・民間) 約500万~540万円 夜勤手当・各種手当が加算されやすい。
一般病院 約480万~520万円 病院規模や地域で幅あり。
クリニック・診療所 約400万~470万円 日勤のみが多く、夜勤手当が少ないため年収も低め。
訪問看護ステーション 約520万~570万円 夜間・オンコール手当が多く、在宅医療の需要増で高水準。
介護施設(老健・特養等) 約430万~480万円 夜勤手当はあるが病院より低め。
保健所・行政機関 約450万~500万円 公務員給与体系。夜勤なし、安定した収入。
企業(産業看護師など) 約450万~550万円 企業規模や業種で差。夜勤なしが多い。
学校(養護教諭・保健室) 約400万~480万円 公務員給与体系。長期休暇あり、夜勤なし。
託児所・保育園 約380万~450万円 日勤のみ、年収は低め。

働き方の違いで収入額は異なる

看護師の年収は、夜勤の有無、勤務形態(病棟・外来)、雇用形態(正職員・契約社員・派遣・パート)などの違いで大きく変わります。以下に主な働き方別に平均年収目安を調べてまとめてみました(2025年現在)。

働き方 平均年収の目安 備考・特徴
看護師 約520万円 資格の違いによる業務範囲や責任、昇給しやすさ、ボーナス額などが影響。
※厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」などによる
准看護師 約430万円
夜勤あり(病棟勤務) 約520万~570万円 夜勤手当が加算されるため高め。夜勤回数や勤務先で差が大きい。
夜勤なし(外来勤務など) 約420万~480万円 日勤のみ。手当が少なく年収は低め。
正職員・正社員 約500万~520万円 ボーナス・各種手当あり。安定した収入。
準職員・契約社員 約400万~480万円 ボーナスや福利厚生が限定的。
派遣 約400万~480万円 時給は高めだが、ボーナスや手当が少なく年収は正職員・正社員より低め。
パート・アルバイト 約200万~350万円 時給1,900〜2,000円前後。勤務日数・時間によって大きく変動。

夜勤手当は1回あたり8,000〜13,000円程度が相場で、月4回以上入ると年収に大きく影響します。

政府主導で「看護師の働き方改革」も進行中!

2019年4月1日、「働き方改革関連法」が施行されました。これに基づき、政府による看護師の働き方改革が推進されています。

具体的には、下記について重点的に取り組まれています。

  • 1.看護職員の処遇改善と賃金制度の見直し
  • 2.夜勤・交代制勤務の負担軽減多様・柔軟な働き方の推進
  • 3.業務効率化・看護DX(デジタル技術導入)の推進
  • 4.働きやすい職場環境の整備とハラスメント対策
  • 5.地域包括ケア・在宅医療体制の強化
  • 6.看護師基礎教育の改革・キャリア支援

これらの取り組みの根底には、「看護師が生涯にわたり健康で安全に働き続けられる仕組みをつくる」という方針があります。特に、長時間労働の是正と多様な働き方の推進が、現場で最も重視されているポイントです。

看護師の年収に年齢や性別の違いは影響する?

労働や求人に関する法律では、年齢や性別による差別の禁止が明確に定められています。もちろん、看護師の就労に関しても同様です。

「労働基準法 第4条(男女同一賃金の原則)」では、性別による賃金差別を禁止しています。雇用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について男性と差別的取扱いをしてはならないと定めています。

「男女雇用機会均等法(雇用機会均等法)」では、募集・採用、配置、昇進、降格、教育訓練、福利厚生、職種・雇用形態の変更、退職勧奨、定年、解雇、契約更新など雇用管理のあらゆる場面で性別を理由とする差別を禁止しています。例えば「女性だけ昇進できる年齢を制限する」「男女で採用基準を変える」などは禁止です。

そして、「労働施策総合推進法(旧:雇用対策法)」では、事業主は募集・採用において年齢を理由とした制限を設けることを禁止しています。2007(平成19)年の改正で義務化され、求人票や採用選考で年齢を理由に不利益な扱いをすることはできません。

では、現実的にはどうなのでしょう?調査してみました。

【最新版】年齢&性別による平均年収一覧

年齢による看護師の年収については、20代は経験年数が浅いため年収がやや低めですが、30代以降は安定して増加。40代後半から50代にかけて役職手当や昇給が反映されやすくなり、さらに年収が伸びる傾向があります。

また、女性看護師と男性看護師の割合ですが、女性が圧倒的に多く、看護師全体の約91.5%を占めます(2025年現在)。男性看護師の数は年々増加しており、10年前と比較すると約2倍になっています。

ご参考までに、あくまで例としてですが、年齢・性別ごとの看護師平均年収を一覧表にしてみました。女性の場合、出産や育児、家族の介護などのライフイベントによるキャリアの中断などが影響しやすいため、男女で年収の差が表れる主な要因となっています。

年齢層 年男性看護師の平均年収 年女性看護師の平均年収
20~24歳 約373~396万円 約390~402万円
25~29歳 約464~491万円 約459~472万円
30~34歳 約512~516万円 約471~482万円
35~39歳 約534~544万円 約490~477万円
40~44歳 約560~555万円 約531~515万円
45~49歳 約553~591万円 約540~547万円
50~54歳 約579~595万円 約553~567万円
55~59歳 約642~595万円 約558~586万円
60~64歳 約571~492万円 約456~477万円
65~69歳 約393~480万円 約417~448万円
70歳~ 約288~435万円 約374~407万円

看護職は年齢より勤続年数・経験年数を重視

看護職の現場では、年齢よりも重視されるのは勤続年数や臨床経験年数というケースが多く見られます。看護師としての成長や評価は、何歳であるかよりも、現場でどれだけの期間働き、どのような経験を積んできたかが重要だからです。

例えば、1年目は基礎的な業務の習得、2〜3年目にはチームでの役割やリーダー業務、4〜5年目以降は後輩指導や専門性の向上など、経験年数ごとに求められる役割や期待も変化します。

また、転職市場においても、即戦力として評価されるのは年齢ではなく、臨床経験の長さや内容です。このため、看護職では年齢に関係なく、経験年数を積み重ねることでキャリアアップや処遇改善につながる環境が整っています。

性別もそれほど関係ない

性別もそれほど関係ない看護師は未だ女性が9割以上を占める職業であり、また業務をする上で男性だから付加価値が高いということもありません。このため、男性も女性も給料水準はほぼ同じと考えて問題ないでしょう。

女性が多数を占める看護職ですが、体力や力仕事が求められる部署や男性患者が多い診療科では、男性看護師の需要が高くなっています。救急外来・手術室・精神科・リハビリテーション科・整形外科・脳神経外科・男性専門外来・泌尿器科などで、男性が必要とされる傾向があります。

最近では、社会全体の意識向上とともに、LGBTQに配慮した職場づくりが医療現場でも徐々に進んでいます。とはいえ、大規模病院や先進的な医療機関では、多様性やジェンダーに配慮した研修や相談体制を設ける動きが見られますが、残念ながら、全国的にはまだ十分とはいえません。

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収入アップや昇給を目指す具体的方法

バブル崩壊後の長期不況やグローバル競争の激化などを背景に、日本企業は経営の効率化や人件費抑制を進め、脱・年功型の給与体系への動きが加速しました。その結果、かつては年齢や勤続年数に伴った「右肩上がりの賃金カーブ」が徐々になだらかになり、中高年でも給与が大きく上がらない傾向が強まっています。

こうした多くの業界に比して、看護業界は昇給が望める傾向にあります。

収入アップや昇給を目指す具体的方法

2020(令和2)年の新型コロナウイルスによる緊急事態宣言により、感染を避けるため一時的に医療機関利用者が減り、医療関係者の給与も減少しました。しかし、2022年以降、国の政策により、毎年着実な給与増が実現。2024年度も新卒・中堅層ともに前年より給与額が上昇し、勤続年数10年前後の看護師で年間1万2,000円ほどの上昇が確認されています。

では、看護職で収入アップや昇給を確実にするには、どのような方法があるのでしょう。

管理職を目指して昇進を志す

主任、師長、部長などの役職に昇進すると、役職手当が加算されて大幅な昇給が見込めます。主任で月2〜4万円、管理職で月3〜5万円程度の昇給が一般的です。主任になるには通常10年以上、師長は10〜20年以上、部長は25〜30年以上の臨床および管理職経験が求められます。

看護師の能力を段階的に評価する「クリニカルラダー」などで高い評価を得ていることが、昇進の条件となる場合が多いでしょう。また、上司からの推薦が必要な場合もあり、病院によっては日本看護協会の「認定看護管理者」資格や、看護管理分野の研修・大学院修了が求められることもあります。

ただし、看護師の役職は一般企業に比べて少なく、昇進による昇給チャンスは限定的です。

資格取得&能力・業績アップに努める

看護師の昇給や収入アップにつながる代表的な資格には、主に以下のものがあります。

資格名 特徴・平均的な昇給額の目安
専門看護師(CNS) 日本看護協会認定の高度な専門分野の資格。資格手当の平均は月額11,566円程度。年間で10万円以上の収入アップが見込めます。
認定看護師(CN) 特定分野の専門知識・技術を有する資格。資格手当の平均は月額8,556円程度。
診療看護師(NP) 医師の指示のもと、より高度な診療補助ができる資格。資格手当は月額3万〜6万円程度と高額な場合もあります。
助産師 分娩介助などができる国家資格。助産師手当や業務手当が月2,000〜10,000円程度支給されることがあります。
認定看護管理者 管理職を目指す際に有利となる資格。

ただし、資格取得による昇給や手当の有無・金額は勤務先によって大きく異なり、国内の約6割の病院では資格手当や昇給がない場合もあります。一方で、国立病院などでは資格手当が支給される割合が高い傾向となっています。

よきタイミングで転職・異動する

より給与水準の高い職場や手当の厚い部署へ転職・異動することで年収アップが可能です。異動の院内募集や中途採用の場合、「臨床経験3年以上」を応募条件にする病院や施設が多く、3〜4年目以降は即戦力として高く評価されやすく、ベースアップも期待できるでしょう。

キャリアの浅い1〜2年目の早期転職はスキル不足や早期離職の懸念から不利になることが多く、基本的な看護スキルを身につけてからの転職が望ましいとされています。とはいえ、職場環境や人間関係などで心身に不調を感じる場合は、タイミングよりも健康を優先し、早めに転職活動を始めることが大切です。

看護師の転職活動は何ヶ月前から始める?有利な応募時期と準備期間の完全ガイド」も、ぜひ参考になさってください。

給与額もあらかじめわかる医療21の看護師求人

求人に応募する際、給与額があやふやなままでは、入職後に「思ったより条件が悪かった」「夜勤手当や諸手当が低かった」などと、後悔するリスクがあります。こうした不安を解消できるのが「医療21」の看護師求人です。

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まとめ:看護師として働きながら効率的な収入アップを目指そう!

看護師の平均年収は約520万円で、年齢や勤務先、地域によって差があります。特に経験豊富な40代以上は高収入を得やすいでしょう。安定した雇用と専門性を活かしながら、働き方やキャリアアップ次第で効率的に収入増を目指せます。

病院やクリニックなど職場ごとの給与差や、夜勤の有無、正職員・パートといった雇用形態、さらに年齢が上がるごとに収入も増加する傾向があります。また、性別による給与格差も少なく、経験を積むことで着実な昇給が期待できます。

効率的な収入アップには、キャリアを重ねながら資格取得や働き方の見直し、昇進を目指したり、転職・異動のタイミングを意識することが重要です。

医療21コラム記事監修者
株式会社アドバン

人材採用サポート・Web事業・印刷物制作を中心とする事業を展開する株式会社アドバンを1991年に設立。人材採用サポートの中でも、医療・介護業界に特化する専門求人サイト『医療21』『介護21』を運営。リアルな求人情報を届け、人材紹介ではない”ベストマッチングの場”を提供している。

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